携帯端末を手に「ネットピープル:a」について説明する、
イナゴのディカールアントニオCEO=東京・麻布十番の本社で
■アンドロイド全機種対応に
スマートフォン(高機能携帯電話)に、「麻布十番でイタリア料理を探して」と語りかけると女性の声で「イタリア料理ですね。探してみます」と答える-。こんな自然な会話で、コンシェルジュ(案内係)のようにグルメやイベントの情報、天気予報などを教えてくれるサービスが、来年1月から、全てのアンドロイドOS(基本ソフト)を搭載したスマホで使えるようになる。
この会話型応答システム「NetPeople(ネットピープル):a」を開発したのがITベンチャーのイナゴ(iNAGO、東京都港区)だ。
ネットピープル:aは今年6月、NTTドコモのスマホ「GALAXY(ギャラクシー)S II」向けに登場した。イナゴのロン・ディカールアントニオ最高経営責任者(CEO)は1月から、全てのアンドロイド携帯で使えるようになることから、ユーザーが急拡大することに強い期待をかけている。
会話型のソフト開発は競争が激しく、まさしく「秒進分歩」のめまぐるしさ。昨年4月、米国で会話型の秘書機能「Siri(シリ)」を開発してきベンチャー企業、「シリ」が米アップルに買収された。シリは他を捨て、アップル向けだけに開発を集中した。ディカールアントニオCEOは、ライバル企業と目していただけに、その動きに驚かされた。今年10月、アップルの「iPhone(アイフォーン)4S」に搭載され、シリは日の目を見た。
ただ、「満足できるレベルではない」(ディカールアントニオCEO)とみている。シリは英語、ドイツ語、フランス語に対応しているだけで、日本語版は来年からとされている。ネットピープル:aは当初から英語、日本語に対応してきた。
スマホも単語レベルの音声を認識して、飲食店を探したり、目的の場所へナビゲーションをしてくれるサービスなどを搭載できるようになった。この数年イナゴやシリのように、会話型システムを開発したという企業は次々登場している。
「こうしたシステムは検索の延長で、対話というより情報を並べて選ばせるだけ。ネットピープルのように条件を絞り込む機能はない」(同)と分析し、シリに対しても「機能は上」と自信を見せる。
ダウンロードは無料だが、全アンドロイド携帯にユーザーが拡大することによって、来年度からは広告やアフィリエイト(成果報酬型)広告の収入が拡大すると期待している。(広瀬洋治)
「フジサンケイビジネスアイ」