室内にブリックタイルを施した東京・日本橋にあるリヴァックスの物件。
天井が高くロフトの使い勝手もよさそうだ
■中古住宅再生で個の満足追求
「個の満足」に応えるというコンセプトを掲げ、中古不動産のリノベーションを手がけるリヴァックス(東京都渋谷区)が、来年に向けて「暖かみや心を落ち着かせる木をベースとした」新しいシリーズを柱に据え、事業拡大を図ろうとしている。住まいにもこだわりを持ちたい20~30歳代の独身者を主なターゲットとし、「味わい」や「伝統感」、また「本物感」といった付加価値に商品力を見いだしながら、他社との差別化を図っていく戦略だ。
2005年にベンチャー企業として立ち上がった同社は、社員の平均年齢が30代前半と若く、斬新な発想力が新たなビジネスモデルを発信する原動力。「ぬくもりを感じる良質な中古住宅を流通させたい」(巻口成憲専務)という理念の下で、創業から右肩上がりの成長を続けてきた。
同社が取り扱う物件は、東京23区内の20~30平方メートルのワンルームマンションが中心で、相場に1万~1万5000円を上乗せすれば「こだわりの空間」を手に入れることができる賃料設定だ。2500人の会員組織を抱える同社の物件は、どこも空き部屋待ち状態にあるが、契約物件は徐々に増加、この約2年間で95件にまで拡大している。
広報を担当する熊倉理恵さんによると、同社は一室一室に「新しい命を吹き込む」という従来ある個別物件の拡充に加えて、「今後は一棟物件の実現で取扱物件を増やす必要があり、そのための専門チームを立ち上げて準備作業に着手した」という。
ただ、「中古不動産再生メーカー」である同社のコンセプトに合致した投資物件の確保が大前提となるため、仕入れ部隊は当面、資産価値の高い不動産を求めて東奔西走する日々が続きそうだ。
同社が現段階で掲げる年間売り上げ目標は30億円。中古不動産のリノベーションを手がける企業が増えつつある中、「品質力、商品力、(不動産の)分析力をもって他社との差別化を図っていく」(熊倉さん)という同社は、画一的な従来型のワンルームマンションとは異なり、住まいの中に見いだす「自分らしさ」を提言していく。(長谷川周人)
「フジサンケイビジネスアイ」