仕事と子育ての両立を目指すシングルマザーの職や住を支援するハーモニーレジデンス(東京都杉並区)と、中高年の第二の人生を応援するナウい(同)は、増加する高齢単身世帯とシングルマザー世帯が同居する、日本初の世代横断型シェアハウス「ハーモニーIGH」の運営事業を共同で開始した。
千葉県柏市で行われた第1回体験交流会。シングル
マザーと高齢者が意見を交換し合った
ハーモニーIGHは3LDKの間取りを基本形とし、2世帯の母子家庭と1世帯の高齢単身者が互いに助け合いながら、共同で生活する。入居時に家賃の30%、それ以降は15%が事業運営費に充てられる。
見知らぬ家族が同居するには不安が生じるため、入居候補者同士で体験宿泊会や体験交流会を行う。
体験会では、高齢者とシングルマザー世帯がそれぞれ生活上で困っている点を挙げて、互いに助け合えることを考えるなど、「具体的に話し合って不安を解消してもらう」(ハーモニーレジデンスの福井真紀子社長)。また、入居者同士で生活ルールを策定。仮に問題が発生した場合、両社が仲介者となって問題を解決していく。
第1回体験宿泊会がこのほど実施され、今後は月1回のペースで開催していく。また、事業に適した物件の募集活動を都心を中心に進めていく。
ハーモニーレジデンスは、全国的なシングルマザーのネットワークを構築、シングルマザーから仕事中の子供の対応などワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の課題を相談されていた。
一方、ナウいはシニア関連事業を通じ、独り暮らしの高齢者が「社会から必要とされている」ことや「他人との交流」を多く望んでいる事実を把握し、解決策を検討していた。
今回の業務提携により、ハーモニーレジデンスとナウいが持つネットワークと不動産網を融合させていく。
シェアハウスでの生活が始まると、高齢単身者は孤独ではなくなり、同居人となるシングルマザーの子供の世話や料理などを行うことで、仕事環境を側面支援する。シングルマザーは買い出しや家事など高齢者には負担が重いことを支援する。
国勢調査などによると、2006年のシングルマザー世帯数は、1998年比で6割増の152万世帯に上る。ハーモニーレジデンスの福井社長は「統計に表れない未婚のシングルマザーも急激に増えている。小さい子供がいる家庭でも安心して働ける環境づくりを進めていきたい」と語っている。
「フジサンケイビジネスアイ」