■「負担ゼロ」で会員30万人へ
インターネットに特化した宅配買い取りサービス「ブランディア」を展開しているデファクトスタンダード(東京都大田区)が、取り扱うブランド品を1年半前と比べ約2.3倍の4500種以上に拡大し、新たな会員の獲得と収益アップにつなげている。会員数は間もなく30万人を超え、買い取り個数は年間100万個ペースをうかがう勢いだ。
同社は、不要になった衣類やバッグ、アクセサリー、時計などを査定して買い取った上で、「ヤフーオークション」や「eBay(イーベイ)」など国内外の競売サイトや自社の競売サイトに出品して販売している。
買い取りの際、ネットや電話で申し込んだ利用者に段ボール箱などの「宅配キット」を届け、同社が送料を負担して査定。査定額に満足できなかったり、買い取りが難しい場合は送料無料で返品される安心感もあり、会員が順調に増えている。
大量に届くブランド品の査定作業にあたるデファクトスタンダードのスタッフら=東京都大田区
2007年3月のサービス開始当初はエルメスやグッチなど高額の落札が見込める高級ブランド品や、それに次ぐ「セカンドブランド品」を中心に展開。10年4月からは落札単価がより低い「サードブランド品」も加え、ブランド数は2000種に増えた。
その後も「アバクロンビー&フィッチ」「H&Mコラボシリーズ」などを追加。既存の質屋では対応していない1000~2000円台での買い取りも行い、今年9月初めに4500種を超えた。
会員の「負担ゼロ」を実現しているのが徹底したコストダウンだ。商品のデータベースを駆使し、品番や傷の有無などのチェック項目をパソコンで入力すれば、査定額を自動判定するシステムを導入。経験を積んだ担当者が最終的に判断する体制を整え、査定作業の大半をマニュアル化した。さらに、09年8月に本社を品川区の東京流通センター内に移転。本社機能と倉庫を集約することで物流コストを削減した。
07年に約2万8800点だった買い取り個数は毎年2~3倍のペースで増えて、10年は年間で約59万2000点にのぼった。現在、査定数は毎月約15万点に達し、買い取り個数も年間100万点ペースに近づいている。
現在は査定品のうち約7割を買い取り、残りは利用者の希望に応じて返品や廃棄処分となっている。同社の尾嶋崇遠取締役は「百貨店で購入できる品を基準に、取り扱うブランドを増やすとともに、買い取りできる割合を8割以上に高めたい」としており、一層のコスト削減を図り、収益力を高めたい考えだ。(村山雅弥)
「フジサンケイビジネスアイ」