クリエーティブ制作者向けコワーキングスペースの個室ブース(イメージ)
映像、デザインなどに携わるクリエーティブ制作者向けのクラウドサービスを手掛ける「ねこじゃらし」は、クリエーターに特化したコワーキングスペース事業に参入する。2月に第1弾となる拠点を東京・築地に開業し、クリエーターが集積する「築地バレー」として業界活性化を狙う。2、3年以内に名古屋、大阪、福岡といった全国の拠点都市にも進出する。
同社のコワーキングスペースは映像制作など、クリエーターのニーズに応えている。室内照明は映像編集など作業に合わせて明るさと色を変えられる。打ち合わせの声が室外に漏れて情報が流出しないよう、人の声を打ち消すスピーカーを設置。大型モニターを置ける広い机、長時間座っても疲れにくい椅子などもある。無線と有線のLAN、棚、ロッカー、メールボックス、複合機のほか、冷蔵庫やキッチンも備える。
ワーキングスペースと、共用のカフェフロアの2フロアに分かれている。ワーキングスペースは全38席。1席の利用料は月額約10万円で、24時間年中使うことができる。
同社がクラウドサービスの顧客対象に調査したところ、クラウドでのワークスペースは利用するが、コワーキングスペースを実際に使う人は少ないことが分かった。公開前のコンテンツを取り扱うことが多く、通常のシェアオフィスでは情報漏洩(ろうえい)が心配なほか、光や音が好みと合わず集中しづらいという声が多く上がった。 一方、他のクリエーターと交流して斬新なアイデアを得たいというニーズも根強く、6割が「問題が解決されれば利用したい」と答えた。
既存のコワーキングスペースにクリエーター向けに適した施設がほぼないことから、十分な需要があるとみて参入した。
同社は「築地バレー構想」として、2018年4月に本社を赤坂から築地に移転。コワーキングスペースによる交流を通してクリエーターの活性化を図る。インターネット関連企業が渋谷周辺に集積した「ビットバレー」に対して、築地を映像関連クリエーターが集まる一大拠点とすることを目指す。
川村ミサキ社長は、「築地には映像などのクリエーティブ企業が多く、歌舞伎座など外国人観光客も訪れる文化の交差点のような場所。クリエーターとして創作意欲を刺激されるだろう」と期待を込めている。
【会社概要】ねこじゃらし
▽本社=東京都中央区築地3-7-1 TSUKIJI GRANDE5階
▽設立=2006年3月
▽資本金=4751万円
▽従業員=37人
▽事業内容=映像など制作者向けのクラウドワークスペースの開発・運営、クリエーター向けコワーキングスペースの運営
「フジサンケイビジネスアイ」