関西ペイントと関西ペイント販売は長崎大学熱帯医学研究所の安田二朗教授と共同で、住宅の内装用に使う、しっくいをベースにした新型塗料の抗ウイルス機能に関する実証試験を行い、インフルエンザウイルスや天然痘ウイルスなどの働きを抑える効果が確認した。
新型塗料を使った医療用テント。新興国の需要が見込める
これを機に、高機能フィルムや不織布などに塗工可能な塗料を本格展開。当面は国内で販売するが、今後はアフリカなど感染症が広がる地域にも輸出する。
しっくいの技術を活用した塗料は消石灰を主成分とした水性塗料で、消臭や抗ウイルス、抗菌などの機能を備える。
「アレスシックイ」という名称でモルタル・コンクリート、石膏(せっこう)ボードなどの建築材用途を中心に販売してきたが、約7カ月にわたる検証試験によって高い抗ウイルス効果が認められたため、用途の多様化を目指すことにした。
新たな用途向けには「アレスシックイモンティアート」というブランド名で展開する。工場でのライン塗装が可能になったことでフィルムメーカーなどと連携。バスや電車の内装部材など、住宅用以外への展開を目指す。また、新興国では医療用のテント向け需要が強いとみている。初年度約5億円の売り上げを目指す。
関西ペイントの石野博社長は「新興国の病院や空港など人の出入りが多い場所で、相当なニーズがあるだろう」と見込んでいる。
「フジサンケイビジネスアイ」