「企業情報センター」全国規模の異業種組合 個人・中小の力を最大限に

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企業情報センターは、異業種懇談会やセミナー・勉強会なども頻繁に開き、組合員企業間の交流を支援している

 日本経済の担い手である個人・中小企業が結集し、「大企業に負けない活動力」を作り出すものとして事業協同組合が注目されている。異業種組合では唯一、全国規模の「協同組合 企業情報センター」(東京都千代田区)は組合員数が3465社にのぼり、毎年加入企業を増やしている。個人・中小企業の力を最大限にして「日本を元気にする」企業情報センターの役割に期待が寄せられている。

組合員数3465社

 企業情報センターの設立は1994年。山本柳二代表理事が開いていた異業種交流会がきっかけとなった。「独立自営でもいろいろとできるが、やはり限界がある。互いに横に連携し助け合うことで力を結集できる“土俵”がいる」。こうして設立準備に4年をかけ、「資本による集合」とは違った「人の結合」による異業種の事業協同組合の設立にこぎつけた。

 98年に経済産業省、国土交通省、農林水産省の3省の認可を獲得した。異業種協同組合としては日本初の全国認可団体。3省認可で組合加入ができる業種が拡大し、土木建築工事、電気工事、機械器具など製造業から運送、卸・小売業、サービス業までほとんどを網羅している。

 当時の組合員数は715社。同業種の全国組合組織であれば、組合員の自主運営も可能だが、異業種の集まりではそうはいかない。事務局長の酒井達也理事は「加入企業が組合にどのような期待や要望をもっているのかをていねいに聴き、有効な支援策やサポートの提案を組合側から行っていかなければならない。事務局側の力量が問われます」と語る。

 運営資金の確保も重要なことだ。企業情報センターは加入時に出資金1万円を預かる(退会時は返却)が、会費はいっさい取らない。運営資金は組合自身が事業の中から作り出す。「知恵を出し合って結集する」のが基本だからだ。

産総研など協力

 企業情報センターの事業内容は多岐にわたる。まず全国認可団体の強みを生かした事業サポートがある。いまやグローバル化や高度情報化による経営環境の変化は個人・中小企業であっても避けて通れない。しかし、技術開発や新製品開発にあたって、しかるべき融資先や評価機関とのつながりがない、販路を開拓したくても提携先などの当てはない、といった悩みは尽きない。そこで企業情報センターでは、日本政策金融公庫や中小企業整備基盤機構、産業技術総合研究所などの協力をバックに融資や補助金の相談、事業パートナーや専門コンサルティングの斡旋(あっせん)などを積極的に行っている。

 一定の初期投資が必要だが資金力がないといった場合は、企業情報センターがその信用力でリース会社と契約、組合員企業は月々のリース代金で導入ができるメリットが受けられる。このケースでは、LEDへの全面交換でリース会社と契約、企業側は初期費用ゼロで、しかも安くなった電気代分だけで代金をまかなえるようになる。すでに400社が活用しているという。

 最近では「海外進出のサポート事業にも力を入れています」と三谷恵二理事が話す。「JICA(国際協力機構)のODAはこれまで大企業中心でしたが、このところ中小企業の技術力にまで対象を広げています。進出企業との間に企業情報センターが入り、現地のNPOなどとも連携して市場調査など支援する。現在、ベトナムなどでプロジェクトが進んでいます」

 国内では、社団法人「日本安全保障・危機管理学会」と連携、企業情報センターが企業や団体との間を結ぶ役割を担う事業がスタート。佐賀県との間で「災害リスクのもっとも少ない県に企業誘致を」のキャンペーン活動が進められている。

 事業のもう一つの柱が、全国で組合員数3465社というスケールメリットを生かした共同購入・共同販売だ。1社だけでは受けられない団体利用割引などで、経費削減効果も大きい。組合側にも手数料収入などが得られるため、運営費などの確保がはかれる。

 自動車関連では、高速利用のETCが最適な場合で40%のコストダウンが可能。このほかガソリン、保険、カーリース、中古車オークションとサポートの幅が広い。オフィス用品などを組合窓口で一括購入する。あるいは、組合員企業が取り扱う製品やサービスを組合内、または一般企業に宣伝、拡販するサポートも行う。たとえば配送では、組合員企業の「エコ配」を利用すると格安だ。

 このほか、情報サポート・交流支援では、異業種懇談会やセミナー・勉強会が頻繁に開かれている。

官民との連携仲介

 日本経済を活力あるものにするには、個人・中小企業の力を向上させることが重要だ。経営環境の変化の中で、技術開発を進め、新たな事業展開を行っていくには、公的な機関との協力関係や民間との連携などが欠かせない。設立から20年をかけて規模を拡大し、信用力を高めてきた企業情報センター。酒井理事は「財務体質を強化して信用力をいっそう高めれば、新規事業などのファイナンスの裏づけもさらに可能になる。さまざまな情報が入ってくるので、何が有望かを見極める力も必要。官民との連携を仲介して個人・中小企業の事業拡大につながる役割を果たしたい」と語る。

【組合概要】協同組合 企業情報センター

 ▽本部=東京都千代田区五番町5-1 JS市ヶ谷ビル
 ▽代表理事=山本柳二氏
 ▽設立認可=1994年5月26日
 ▽認可地区=日本全国(全国認可団体)
 ▽組合員数=3465社

 □主な共同事業

 ≪ETCカード≫道路会社(NEXCO)と各種クレジットカード会社発行の2種類のETC専用カードを、どのように導入すれば最適なコストダウン(最大40%)ができるかを提案

 ≪ガソリンカード≫全国のガソリンスタンド(指定あり)でスケールメリットを生かした組合員特別価格で、キャッシュレスのカード給油が可能となる

 ≪損害保険・自動車共済≫民間損保から政府系の自動車共済まで。組合ならではの団体割引や各種サービスが適用され、いま支払いの保険料を削減することもできる

 ≪カーリース≫組合が取引をしているカーリース会社(数十社)から、一斉に見積りを取得し、納得いただけるリース価格を提供。リース枠の問題やリースバックの検討も

 ≪中古車オークション≫買い替え時の中古車の引き取りをディーラー任せにせず、もっと高く買い取ってもらえる新しい選択肢、オークションの出品代行(出品から精算まで)をサポート

 ≪共同購買≫日頃利用する製品を、組合が窓口となって一括大量購入することによって、特別価格で提供する(オフィス用品、備蓄品、名刺、携帯電話など)

 ≪共同販売≫組合員企業が取り扱っている製品やサービスを、組合員企業または組合員外の一般企業などへ、組合が窓口となり、宣伝・拡販のサポートを行う

「フジサンケイビジネスアイ」

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