ウェイビーグループ・伊藤健太社長
安倍晋三政権の経済政策アベノミクスでは、成長戦略「第3の矢」の一環として、開業率を米英並みの10%台にすることを目標に掲げたが、国内の現状は約5%ととどまる。こうした中、ウェイビーグループは、起業から起業後の融資・集客を含めた起業支援のワンストップサービスを手掛ける。伊藤健太社長は「若い人の起業意欲を掘り起こし市場を活性化させたい」と起業家養成に力を入れる。
--自らも起業している
「ロースクール入学のために猛勉強していたときに体を壊したことがきっかけだった。回復したが当時は先の人生は短いと感じ、2010年8月に思い切って起業した。しかし、明確な事業計画や理念がなく、半年は売り上げゼロだった。追い詰められた末に、学生時代に取得した資格を生かすため、行政書士事務所を立ち上げた」
--旧来の行政書士事務所と何が違うのか
「一般的に行政書士は法人設立関係書類など、官公庁に提出する書類を作成することを主な業務としている。ただ、このような待ちの姿勢では同業他社の中に埋没してしまう。そこで当社は起業支援をすることで、会社設立書類の作成や融資サポートなどに取り組んで顧客を増やすことにした。行政書士事務所というより、起業支援コンサルティングに近いかもしれない」
--具体的にどんな支援をしているのか
「20代の若い人に起業を志してもらうため、『CHALLENGER(チャレンジャー)』という起業塾を開いている。3カ月間に通算6日、午前・午後の2部に分けて全12回開く講座で、年間3~4講座を設けている。20代で起業した経営者を講師に迎えて、実践的に半年以内で起業するための事業計画をつくることを目的にしている」
--自社の行政書士事務所の経営ノウハウを、他の法律事務所などにも提供している
「行政書士や税理士、弁護士といった“士業”は、集客やマーケティングという概念が希薄だ。少子高齢化の影響で市場が縮小していくため、自らの営業努力が不可欠になってくる。士業向け講座の『イトケン塾』では、他の事務所と差別化を図る方法を伝授する。検索結果で上位に登場するようなホームページを制作して、集客につなげる指導をする。1期生は定員を上回る約30人が受講し、4月に第2期がスタートした」
--今後の事業展開は
「1年以内に起業志望者向けのeラーニング講座を立ち上げ、ここから初年度に100人の起業家を輩出したい。また、シニアや介護ベンチャー対象のビジネスコンテストを今年中に開いて、新たな分野の起業支援に取り組む。14年度の売上高は1億円を見込んでいるが、17年度には10億円を目指している」(佐竹一秀)
【プロフィル】伊藤健太 いとう・けんた 慶大法卒。2009年4月大手損害保険会社に入社。10年8月にウェイビーを創業し、社長に就任。27歳。神奈川県出身。
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【会社概要】ウェイビーグループ
▽本社=東京都目黒区青葉台4-5-12 a-place105
▽創業=2010年8月
▽資本金=301万円
▽従業員=9人
▽売上高=1億円(14年12月期予想)
▽事業内容=起業支援業務、行政書士業務、経営コンサルティング業務、ウェブマーケティング、セミナー企画など
「フジサンケイビジネスアイ」