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日本企業の情報共有化は「圧倒的に遅れている」

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サイボウズ 青野慶久社長

 サイボウズは、組織力を最大限に発揮できるようにするソフトの開発に力を入れている。とくに重視しているのが、社員間の情報の共有化を進めていくこと。青野慶久社長は「共有化が進んでいけば働き方の多様化につながり、女性の社会進出など日本が抱える問題もだいぶ解決されるはず」と語る。

 --多様な働き方を実現するため、さまざまな施策を導入している

 「最長6年間の育児・介護休暇制度や、『ワークライフバランス型』などライフスタイルの変化に合わせて働き方を選択できる選択型人事制度を用意している。安心して働けるようにするのが目的だ」

 --一連の制度のきっかけは

 「昔は『ベンチャーは土日も働いて当然』といった感覚で、私の考えを押しつけていた。社内競争も激しく相対評価だったため、ある部署は多額のボーナスを受け取っているのに、すぐ横の部署はゼロというケースもあったほどだ」

 「必然的に離職率は高く、2005年には28%にも達していた。ただ、社員が退職すれば新たな人員の採用と教育に多大なコスト負担が必要となり、非効率的な経営を強いられる。ソフト会社といっても基本的にメーカー。社員を大事にして長期的に働いてもらおうと方針転換を図り、働き方の多様化を追求した」

 --会社はどのように変わったのか

 「部署の垣根を越えて協力し合うようになり、従業員の一体感が高まった。離職率は4%まで下がった。昨年からは成長モードに突入している。クラウド型のビジネスモデルへと円滑にシフトできた点が大きな理由で、有料顧客は7000社以上に達している」

 --社内情報を共有できるソフトの提供に力を入れている

 「サービスの質の向上につながるからだ。例えば介護会社の場合、営業マンや浴槽で身体を洗うスタッフなど、1人の顧客にさまざまな人が接する。情報を自分の中にとどめておくと『あの人に伝えたけど、また言わなければならない』といった不満が募る可能性がある。しかし、情報を共有していれば、全員が一体となってサービスを提供できるようになる」

 --情報共有化に対する日本企業の考え方は

 「圧倒的に遅れている。ソフトの導入比率は10%にも達していない。個人のスケジュールなど情報の共有化が進むと、効率的な営業体制を構築でき、顧客満足度が高まる。またワークシェアにも結びつき、働き方改革も進む。こうした側面をアピールし続けていく」(伊藤俊祐)

【プロフィル】青野慶久
 あおの・よしひさ 大阪大学工学部卒。松下電工(現パナソニック)を経て1997年サイボウズを設立、取締役。2005年4月から現職。43歳。愛媛県出身。

【会社概要】サイボウズ
 ▽本社=東京都文京区後楽1-4-14 後楽森ビル12階
 ▽設立=1997年8月
 ▽資本金=6億1300万円
 ▽売上高=51億9700円(2013年12月期、連結)
 ▽従業員=409人(同)

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