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株式会社エンパワー 代表取締役   増井 俊介

買い取り専門店「買取大吉」で業界ナンバーワン目指す。モノ募金も開始、ブランディング強化

リユース品の買い取り専門店「買取大吉」を展開するエンパワーはブランディング戦略を強化している。店舗網を拡大しながら、美容家でタレントのIKKOさんをTVCMで起用して知名度を高めるとともに、企業とのアライアンスにも注力する。日本に寄付文化を根付かせるためのプログラム「買取大吉モノ募金」も始めた。増井俊介社長は「来春をめどに店舗数で買い取り業界ナンバーワンを目指す。1年後には売上高で首位を狙う」と意気込む。

――店舗数、売り上げ規模とも、ほぼ一貫して右肩上がりを続ける
設立は2010年10月。順調に出店を増やし、23年4月時点で650店舗(直営店130、FC店520)になった。売り上げは21年9月期に100億円を突破、22年9月期は263億円、23年9月期は430億円に着地する見込みだ。
――成長を続ける強みは何なのか
買い取り業界は出店1年目で約3割が撤退するといわる中、店舗継続率が97.4%と高いことだ。それだけ店舗としての質も高くなる。オーナーになるには初期費用として1000万円を用意する必要があり、個人にとって人生をかけての開店となる。失敗は許されないので、オーナーをサポートするバックアップ態勢を手厚くしている。出店基準も厳しく、周辺住民の人口や動線、商圏などのデータを元に本部で決定する。
――直営店が多いのも強みなのか
業界トップクラスの直営店を生かしている。ここで試して、うまくいくとFC店で展開するのでリスクは低くなる。また買い取り品目数も業界トップクラス。リピーターを増やすため、間口を広げ『何でも持ってきて』という態勢を取っている。
――リユース市場の推移は
買い取り業界は成長率が高い。18年に2兆円を超え、22年には3兆円に達した。メルカリやヤフオクといったネットオークション(CtoC=個人間取引)の台頭で、我々のような店舗系も増えている。高額商品は本物かどうかの判断が難しく、買いたがらない。そこで売りたい人は店舗に持ってくる。我々は査定して買い取るため、安心できる。
――新型コロナウイルス禍の影響は
自宅に眠る不要品を持ってきて現金化するので不況に強いビジネスでもある。コロナ禍でも市場は右肩上がりで、外出自粛の巣ごもり期間中に生前整理などの終活を行ったり、SDGs・ESGを重視したりする人が増えたことで、捨てるより誰かに使ってもらうことを選ぶようになったといえる。ただ3兆円市場といっても買い取り店舗の利用者は3割にすぎず、残り7割はリユース経験がない。この潜在顧客の開拓が課題といえる。
――課題解決に向けた戦略は
ブランディングに注力している。本社を東京・新宿に移転した21年10月以降、新たなロゴを採用し、新店舗の内外装を変えて入りやすい店づくりを進めた。IKKOさんのCMも始めた。企業とのアライアンスも強化している。
――アライアンスの具体例は
コメダと共同で『コメダ珈琲店×買取大吉 買取イベント』を開催している。顧客層が重なり親和性が高いからで、コメダ珈琲店と連名で新聞の折込広告で、喫茶店の駐車場内に仮設店舗となるキャンピングカーを駐車し貴金属や時計、バッグなどブランド品を査定し買い取る。査定中に喫茶店でコーヒーを無料で楽しむことができる『特別ご招待券』をプレゼントする。利用者の35%はコメダ未体験者でウィンウィンの関係を築いている。全国のコメダ店舗に拡大していきたい。
――買取大吉モノ募金とは
モノを現金化して寄付するプログラムで、4月にサイトを立ち上げた。自宅に眠っている不要なモノをそのまま寄付しても喜ばれるとはかぎらないが、換金して寄付するときっと喜ばれる。出張買い取りの機能を生かして査定員を自宅に派遣して査定する。寄付先は復興支援や環境保護、子供支援など多岐にわたる中から選べる。支援団体への寄付手続きなどは我々が代行する。寄付完了後は支援団体から領収書が届く仕組みになっており安心できる。なお我々が査定額(寄付金額)の10%分を上乗せする。
――モノ募金を始めた理由は
11年3月の東日本大震災をきっかけに寄付に対する国民の関心は高まったが、日本に寄付文化が根付いてるとはいえない。一方、寄付行為と幸福度の向上に相関関係があるといわれる。21年の『国民の幸福度ランキング』で、日本は149カ国中54位。中でも幸福度を測る項目『寛容さ』部門では149カ国中148位。『過去1カ月以内に寄付を行ったか』という質問があるからだ。寄付文化がいまだに定着していないことが伺える。モノ募金で寄付市場を活性化したいと思っており、年間1億円になれば成功といえる。買取大吉だけでなく、買い取り業界のブランディングにつながればいい。
――今後の展開は
来春をめどに店舗数を買い取り業界で最大規模の1200まで増やす。FCオーナーの希望者は個人に加え、関心をもつ企業も出てきた。路面店が多いが、ショッピングセンター内への出店にも注力する。集客に強みがあり富裕層も多いので安定して利益を出せる。出店数に比例して売り上げも増えるので1年後には業界ナンバーワンを目指せる。売上高1000億円は悲願だ。
増井俊介(ますい・しゅんすけ)
株式会社エンパワー 代表取締役
1973年9月28日大阪府堺市生まれ。
神戸学院大学法学部卒業後、大手通信会社入社。大阪、東京、沖縄、福岡、宮城などで営業を担当。
2008年、上司に引き抜かれコールセンター会社代表を務め、2011年、コールセンター事業を起業。
2016年、株式会社エンパワー代表取締役に就任。

Webサイト: http://www.en-power.jp/

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