【挑む】都心部の土地をレンタル家庭菜園に

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アグリメディア・諸藤貴志社長

 アグリメディアは、首都圏を中心に、耕作放棄地や後継者難に悩む農家の農地を家庭菜園用に貸し出すビジネスを展開している。9月には東京都渋谷区に、ウェブを通じて栽培指導を受けられる都市型サポート付き市民農園を開園した。諸藤貴志社長は「来春までに首都圏を中心として、今の農園に加えて10カ所増やしたい」と、サポート付き農園事業の拡大に意欲を示す。

 

--千駄ケ谷という都心に農園をオープンした

 「もともとは、地元の老舗子供服メーカーの土地だ。人が通り過ぎることができる程度の狭い路地のどん詰まりにある。敷地面積は500平方メートル。条件的に使いづらく、固定資産税の捻出に困っていた地主から相談を受けていたところ、投資がゼロで済み、地域貢献にもなるということで実現した」

 

--すでに首都圏を中心に全部で10カ所の農園を運営している。これまでとの違いは

 「郊外型が中心で、京王井の頭線三鷹台駅(東京都三鷹市)の近辺など利便性の高い場所にも開設しているが、すべて農地を利用したものだった。これに対して今回は、宅地を活用し、宅地と同等の固定資産税が課税されている。これまでの利用料と比べた場合、3~4倍の価格設定となった。しかし都心部という利便性が受け、先月にオープンしたばかりだが、80区画ほぼ全てに借り手がついた」

 

--農園の利用者像は

 「これまで10カ所合わせて延べ1000人が利用者となっている。面白いのはフィットネスを好む人と客層が重なっているように感じられることだ。どちらも生活に余裕があって、健康や食に関心が高い人にとって魅力的なのだろう」

--なぜ農業で起業しようと思ったのか

 「住友不動産で入社1年目から新規のイベントホール事業を担当し、事業をつくり大きくすることの楽しさ、やりがいを感じて起業を考えるようになった。遊休農地と農園の需要を組み合わせるビジネスモデルを思い立ち、農業従事者だった福岡の友人と起業した」

 

--農園の事業は子供の食育にも有効だ

 「最近特に祖父母と夫婦と孫の3世代の姿が目につくようになった。3世代同居は少なくなったが、農作業を通じて世代間の交流を実現できる。普段接する機会の少ない祖父母が、孫に農作業を教えることで、触れ合いの機会を持つことができる。野菜を通じた子育てということで、『やさいくファミリー』というキャッチコピーをつくって利用者のさらなる増加を図っていく」(佐竹一秀)

【プロフィル】
諸藤貴志 もろふじ・たかし 九州大学経済学部卒。住友不動産に入社し、東京都心の再開発などに携わる。2011年アグリメディアを設立し、現職。34歳。福岡県出身。

                   ◇

【会社概要】
アグリメディア
 ▽本社=東京都新宿区西新宿8-15-17 住友不動産西新宿ビル2号館604
 ▽設立=2011年4月1日
 ▽資本金=6100万円
 ▽従業員=40人
 ▽事業内容=市民農園の運営、農家と消費者の交流イベントの運営、農産物直売所の運営、農地利用提案、農園付き住宅の企画・開発

「フジサンケイビジネスアイ」

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