グローバルパワー竹内幸一社長
少子高齢化の影響で外食産業や小売業などで人材不足が深刻化し、これを補う外国人労働力が貴重な戦力となっている。厚生労働省によると2014年10月末時点で外国人労働者数は約79万人で、前年同期と比べ約7万人の9.8%増と過去最高を更新した。外国人に特化した人材サービス最大手のグローバルパワーの竹内幸一社長は「入国管理局より充実したデータベースを構築する」と意気込んでいる。
--外国人に特化した採用支援企業のパイオニア的存在だ
「当社は外国人採用支援企業として2004年に設立されたが、時代を先取りしすぎていたため、業績は芳しくなかった。08年のリーマン・ショックで人材サービス会社は大打撃を受けたが、外国人向けはさらに深刻だった。債務超過で経営が厳しかった10年末に3代目社長に就任した。直後に東日本大震災が発生して打撃を受ける。しかし業績が苦しい間も、海外のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログなどのウェブサイトに対して、当社のサイトにリンクする仕組みを作った。このため訪日前の外国人の間でも知名度が高い」
--外国人人材の登録データは130カ国以上で4万人分を超えている
「日本在住の外国人は特別永住者を除くと約170万人だ。うち高度な技能を持つ優秀者は10%ほどとされている。当社はこのうち約4万人のデータベースを持っている。データ集めは手間のかかる作業だ。外国人は全国各地に点在していて、年代も性別も言語もばらばらだ。在日外国人への認知度をアップさせるため、留学生協会に資金援助をしたり、ポータルサイトの掲示板、新聞などへの露出を図っている」
--20年に東京五輪・パラリンピックが開催される
「五輪に向けて特別なことに取り組む考えはない。しかし開催が決定した13年ごろから、百貨店やショッピングセンター(SC)への外国人販売員の派遣が増えている。今でもすべてに応じきれないほど要請があり、今後さらにニーズが高まると予想される。外国人人材はすでに不足している」
--昨年から「カタコトバイト」というサービスを始めた
「これまで高い日本語能力の人材を紹介してきたが、人手不足の飲食店を中心に『日本語が苦手でもいいから紹介してほしい』という要望が多く、14年に新しくサイトを開設した。すべてひらがなで表示し、日本語が得意でない人でも応募できるようにしている。今は言葉が未熟かもしれないが、3年後には相当上達するだろう。日本語学校には毎年約2万人が入学している。これらをデータベース化すれば一挙に登録者を増やすことが可能だ。現在の登録者は4万人だが、20年度には10万人に、25年度には30万人に増やすことを目標にしている」(佐竹一秀)
◇【プロフィル】竹内幸一
たけうち・こういち 米カリフォルニア州立大サクラメント校中退。1998年外資系ワイン商社に入社。2003年フルキャスト入社、05年社内ベンチャーとして外国人留学生採用支援事業部の設立に参画。09年事業部のMBO(経営陣による自社買収)を経て、グローバルパワーを設立。10年12月から現職。40歳。群馬県出身。
◇【会社概要】グローバルパワー
▽本社=東京都台東区台東1-10-6 秋葉原サワビル7階
▽設立=2004年8月
▽資本金=4687万5000円
▽従業員=60人
▽事業内容=外国人に特化した総合人材サービスなど
「フジサンケイビジネスアイ」