Indo Watcher

第6回

「ジュガード」との付き合い方

木暮 知之 2015年3月26日
 
最近、ある取引先から一冊の本を薦められた。『インド人コンサルタントが教える インドビジネスのルール』(パンドランギ・シャンカル・加茂純著、中経出版)という本だ。なんとも心をくすぐるタイトルである。日本人から見たインドとは全く違う観点で、インド人と上手く付き合うヒントが何か書かれているのでは、との期待を込めて読んでみた。 

 早速、聞いたこともない言葉に出会う。「ジュガード」(「ジュガール」とも)という言葉だ。これは、ヒンディー語で、「斬新な工夫による応急処置」を意味するそうで、さらには、「倹約精神に富み、柔軟かつ包括的で、大部分はインド人が日々の生活の中で生じる問題を間に合わせで即座に何とかする」、と書いてある。あの日産のカルロス・ゴーンCEOもジュガード・イノベーションを呼びかけているとか。 

 一方で、こうした「ジュガード」力を過信するケースもあるそうだ。インド人は、計画を立案する場面においては、計画を立てても変更されるのであれば、初めからあまり詳細に計画を立てる意味はない、と考えているフシがある。結局、最後は「ジュガード」の力でなんとかできる、ということらしい。確かに弊社で関わっているインドのシステム会社との開発プロジェクトでも、あまり計画どおりに進捗することがない。むしろ計画がコロコロと変更されながら進む印象すらある。万事詳細を検討してから取り組む日本人としては、なんともストレスがかかるプロジェクトの進め方である。 

 逆に言えば、日本人的発想で段取りよくプロジェクトの計画を進めながらも、上手く行かなかった場合や更なる改善を検討する場面においては、こうした「ジュガード」の知恵を活かして解決にあたると、よりいい結果が導き出せるかも知れない。どちらの国のやり方がいいとか、悪いとかの議論をする前に、お互いの考え方の融合を図ってみてはどうかと。 

 ゴーン氏が先のジュガード・イノベーションで、「インドのような新興国に行って、単に製品を持ち帰ってくるのではなく、新しいプロセスや全く新しい考え方など、何かを学んでくるべき」と語っている。日本企業・日本人もこの「ジュガード」をよく学んで、インドとのよりよい関係を構築してみてはどうか。 
 
 

プロフィール

ピーエムグローバル株式会社
代表取締役 木暮 知之

上智大学 比較文化学部卒 ボンド大学MBA

1991年東京銀行入行、ロンドン支店・投資顧問にて活躍した後、2000年にIT業界に転身。 米系ITコンサルタント会社を経て、2005年に日本初のグローバル・プロジェクトのマネジメント専門のコンサルタント会社「ピーエムグローバル株式会社」を創設。以来、数多くのグローバル・プロジェクトの推進に貢献する。

高校時代の留学から始まり、海外赴任、外資系企業での勤務、更にはオフショア開発等での経験から、異文化とのコミュニケーション能力に長け、グローバル・プロジェクトの推進に関しては定評がある。

海外では、外国人向けに日本人と上手く付き合うための「報・連・相」等のセミナーを行う一方、日本人にはグローバルで通用する人材の育成に携わる。

近年ではインドニュースの配信事業「インドウォッチャー」の編集者としても活躍している。

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