知らなかったでは済まされない著作権の話

第4回

職場の内部資料には有名キャラクターのイラストを自由に使える??~私的使用にまつわる話

 

職場新聞に人気キャラクターのイラストを使用するのは「私的使用」??

営業一課の人気者のAさん。社員同士のコミュニケーション向上のため、課長さんから職場新聞の製作を頼まれ、毎週張り切って発行しています。Aさんの新聞は、社食の人気メニューランキング、社員の口ぐせ特集などの魅力的な企画と、絵心のあるAさんが描く人気アニメキャラクターのイラストが話題となり、瞬く間に課をこえて会社中の評判となりました。

するとある日、法律を少しかじっている総務部のB主任が営業一課にやってきました。
B主任「Aさんの新聞、とっても面白いね!イラストが上手くて驚いたよ!」
Aさん「ありがとうございます。会社全体で読まれるなんて光栄です。」
B主任「でも人気アニメキャラクターのイラストには著作権があるんじゃない?」
Aさん「多分あると思いますが・・・でも、社内で配っているだけですし、
    社外には出回らないようにしています。」
B主任「そうか。Aさんの新聞の場合は、著作物の私的使用になるからいいのかもね。」

プライベートでの著作物の使用は、著作権者の許可がなくても基本的にはOKです!

他人が著作権を持っているイラスト、音楽、小説、写真などを、手書きといえども、著作権者に無断で勝手に使用(コピー)することはできません。これが大原則です。ただどんな場合でも、著作権者への許可を得なければならないとしたら大変です。子供が家でテレビアニメの絵をクレヨンで描いたときに、お母さんが「まあ大変!著作権者に許諾をもらわないと!」なんていう世の中は、あまりにも窮屈です。ということで、法律は、著作権者に許諾をもらわなくてもコピーしていいという例外をいくつか設けています。そのひとつが今回のテーマの「私的使用」です。

自分で買ったCDをファイルデータに変換して自分の携帯音楽プレーヤーに入れたり、テレビ番組を自分で見るために録画したりすることが、私的使用としてのコピーの代表例といえるでしょう。いずれも著作権者には無断で、その著作物である音楽やテレビ番組を勝手に複製しているのですが、社会生活を営む上で必要な行為と認められているのです。またこの程度のコピーを認めても、著作権者の経済的損失は少ないということも理由のひとつだと考えられています。

家族は「私的」?? 友達は?? 会社の仲間は??

それでは「私的」とはいったいどの範囲までをいうのでしょうか??法律では、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」と規定されています。つまり、コピーした本人、家族、そして家族に近い親密な関係者までが、著作権者に許可を受けずにコピーされた著作物を見たり聴いたりして楽しむことができるのです。ということで、仲良し友達グループで楽しむためのコピーや、会社の資料として配布するためのコピーはNGと考えられています。

子供がテレビアニメの絵をクレヨンで描いたのは純粋に家庭内の出来事なので、もちろん問題ありません。しかし、人気アニメのイラストを描いて職場新聞に掲載したAさんの行為は、職場での出来事なので、もはや「私的使用」の範囲外となり、著作権を侵害したといえるでしょう。B主任は法律のかじり方が少し足りなかったようです。

「私的使用」でも許されないことがあります!!

ところで「私的使用」だからといって何でもOKというわけではありません。例えば、コピーガードが掛かっているDVDやパソコンソフトは、自分がプライベートで使うからといって、コピーガードを裏技などで外して複製してはいけないことになっています。コピーガードが掛けられたDVDやパソコンソフトは、たとえ私的使用でもコピーが当たり前のようにされてしまうと、著作権者にとって大きな損害になる恐れがあるため、デジタル時代の今日では禁止も致し方がないのでしょう。

また「私的使用」のもうひとつの条件として、法律では「その使用する者が複製すること」と規定されています。家族にテレビ番組の録画をお願いしたりするぐらいは当然問題ないのですが、いくら私的に鑑賞するのが目的とはいえ、業者さんに録画を依頼するのはNGです。

最近問題になっていることに、電子書籍の自炊があります。裁断機とスキャナーを買ってきて、自分で自炊するのは「私的使用」となりますが、業者さんに依頼して紙の本を電子化してもらうのは「私的使用」のルールからは外れてしまっている可能性があります。

ビジネスの世界では、自分たちの著作権を守ることももちろん重要ですが、他人の著作権を侵害しないことはもっと大切となります。著作物の使用について不安に感じることがありましたら、是非著作権を専門に扱う行政書士にご相談ください。

※コラムは執筆時の法令等に則って書いています。
※法令等の適用は個別の事情により異なる場合があります。本コラム記事を、当事務所に相談なく判断材料として使用し、損害を受けられたとしても一切責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。

 
 

ボングゥー特許商標事務所/ボングゥー著作権法務行政書士事務所
所長・弁理士 堀越 総明 (ほりこし そうめい)

日本弁理士会所属 東京都行政書士会所属 東京都行政書士会著作権相談員 東京都行政書士会任意団体著作権ビジネス研究会会員 株式会社ボングゥー代表取締役

「ボングゥー特許商標事務所」の所長弁理士として、中小企業や個人事業の方々に寄り添い、特許権、意匠権、商標権をはじめとした知的財産権の取得・保護をサポートしている。

特に、著作権のコンサルタントは高い評価を受けており、広告、WEB制作、音楽、映画、芸能、アニメ、ゲーム、美術、文芸など、ビジネスで著作物を利用する業界の企業やアーティスト・クリエイターを対象に、法務コンサルタントを行っている。

現在、イノベーションズアイにて、コラム「これだけは知っておきたい商標の話」、「知らなかったでは済まされない著作権の話」の2シリーズを連載し、また「ビジネス著作権検定合格講座」の講師を務める。

また、アート・マネジメント会社「株式会社ボングゥー」の代表取締役も務め、地方公共団体や大手百貨店主催の現代アートの展覧会をプロデュースし、国立科学博物館、NTTドコモなどのキャラクター開発の企画を手掛けた。


○ボングゥー特許商標事務所
http://www.bon-gout-pat.jp/


○ボングゥー著作権法務行政書士事務所
http://www.bon-gout-office.jp/

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