知らなかったでは済まされない著作権の話

第2回

あれ!?こんなにアイデアを出したのに、ボクって著作者じゃないの??~著作者の認定にまつわる話

 

著作者っていったい誰なの??

さて問題です。次の人たちのうち「著作者」となり、著作権をもつことができる人はどなたでしょう??

あるアイデアを口頭で伝えて脚本化を依頼したAさんは、その脚本の執筆者とともに著作者となる。

Bさんとカメラマンは一緒に、照明を調整し、小道具を揃え、モデルのポーズまでを考え、その後カメラマンが写真の撮影を行った。Bさんは、カメラマンとともにその写真の著作者となる。

4コマ漫画の基本的構成や吹き出し部分のセリフを具体的に考え、作画する人に指示したCさんは、その4コマ漫画を作画した人とともに著作者となる。

いずれも著作物の誕生に大きく貢献した人たちばかりですね。正解は全員!と言いたいのですが、裁判所の判決によると③のCさんだけが著作者となるようです。

法律では、著作者とは「著作物を創作する者」と定義されています。そして著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸・学術・美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されています。つまり著作物は「表現したもの」でなくてはならないので、具体的に表現される前段階で、いくらしびれるようなアイデアを出して、クリエイティブな貢献をしても、著作者になることはできません。

どんな良いアイデアでも著作権では保護されないのです!

冒頭の問題のAさんが「銀河系の彼方から怪獣が襲撃してくるんだけど、下町のおばさんが巨大化して地球を救うんだよ。面白いだろ!映画にしたら絶対ヒットするよ。脚本書いてみてよ!」と言って、友人の脚本家がその通りのストーリーで脚本にしたとしても、Aさんはアイデアを出しただけで具体的な「表現」はまったくしていないので著作者にはなれず、友人の脚本家のみが著作者となります。

Bさんが「このポーズ絶対うけるよ!決めのポーズでブルース・リーみたいにアイヤー!ってやれば、この写真は超話題になるよ!」と言って、カメラマンがその決めのポーズをしているモデルの写真を撮っても、Bさんはやはりアイデアを出しただけなので、その写真の著作者にはなれず、カメラマンのみが著作者となります。

一方Cさんは、4コマ漫画の吹き出しのセリフまで具体的に考えています。漫画は、絵とセリフで成り立つ著作物なので、Cさんは単にアイデアを出しただけではなく、具体的な「表現」まで行ったといえるのでしょう。つまりCさんは作画をした人とともに著作者となります。

アイデアの取られ損をしないためには??

それにしても、AさんやBさんは納得いかないですよね。「ボクのアイデアがなかったら、キミの作品は生まれなかったじゃないか!」と言われれば、まさにその通りだからです。ということで、こうしたケースではよく醜い争いになってしまいます。特に、このようにして制作された映画や写真が大ヒットした場合は尚更です。

しかし著作権で保護されるのは、「表現されたもの」であり、「アイデア」ではありません。
もし仮にまだ形にもなっていない誰かの「アイデア」に、後の創作活動が制約されることになれば、いつ見ず知らずの人に「それはボクのアイデアだよ!」と言いがかりをつけられて、自由な創作を脅かされてしまうかもしれません。

それからおまけのお話ですが、「アイデア」を出した人が著作者になれないのですから、「お金」だけ出したような人も当然に著作者にはなれません。「俺が制作費を全部出してやったんだから著作権は俺のものだ!」という論理はまったく通用しません。

ただしAさんやBさん、そして前段のお金持ちの人は、著作者になれなくても、事前に自分の貢献度に応じた報酬をもらうことを契約で著作者に約束してもらうことはできます。わからないときは、是非著作権を専門に扱う行政書士にご相談ください。

※コラムは執筆時の法令等に則って書いています。
※法令等の適用は個別の事情により異なる場合があります。本コラム記事を、当事務所に相談なく判断材料として使用し、損害を受けられたとしても一切責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。

 
 

ボングゥー特許商標事務所/ボングゥー著作権法務行政書士事務所
所長・弁理士 堀越 総明 (ほりこし そうめい)

日本弁理士会所属 東京都行政書士会所属 東京都行政書士会著作権相談員 東京都行政書士会任意団体著作権ビジネス研究会会員 株式会社ボングゥー代表取締役

「ボングゥー特許商標事務所」の所長弁理士として、中小企業や個人事業の方々に寄り添い、特許権、意匠権、商標権をはじめとした知的財産権の取得・保護をサポートしている。

特に、著作権のコンサルタントは高い評価を受けており、広告、WEB制作、音楽、映画、芸能、アニメ、ゲーム、美術、文芸など、ビジネスで著作物を利用する業界の企業やアーティスト・クリエイターを対象に、法務コンサルタントを行っている。

現在、イノベーションズアイにて、コラム「これだけは知っておきたい商標の話」、「知らなかったでは済まされない著作権の話」の2シリーズを連載し、また「ビジネス著作権検定合格講座」の講師を務める。

また、アート・マネジメント会社「株式会社ボングゥー」の代表取締役も務め、地方公共団体や大手百貨店主催の現代アートの展覧会をプロデュースし、国立科学博物館、NTTドコモなどのキャラクター開発の企画を手掛けた。


○ボングゥー特許商標事務所
http://www.bon-gout-pat.jp/


○ボングゥー著作権法務行政書士事務所
http://www.bon-gout-office.jp/

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