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プレスリレーションを考える

第7回

プレスリリースを考える ①

株式会社エムシーストラテジー   槇 徳子

 

プレスリリースを受ける側

昭和、平成の時代プレスリリースはFAX送信がデフォルトでした。絶え間ないFAXの受信音は報道フロア環境の一部でもあり(更に報道フロアではNHKプラス全キー局の放送も流れていました)、FAXで流れてくるリリースを選別する係も他の仕事があり追いつかず、うず高くFAX用紙が溜まっている状況でした。

カラー刷り写真付きの素敵な郵便として届くプレスリリースは、ホテルや音楽関係など華やかなイベントが多い業界からでした。

いつでもどこからでも欲しい情報にアクセスできるデジタル時代の今、以前のような紙の無駄はなくなったものの、かつてのFAXによるプレスリリースがメール送信に代わっただけという印象もあります。先日、ベテランテレビ局員から毎日500通ものプレスリリースメールを受信すると聞き驚いた次第です。

時代が代わっても送れば必ず目に触れられるものではないということはご想像頂けるのではないでしょうか。


取材側とのミスマッチ

プレスリリースが全てメディアによる取材を期待しているものではないと承知しています。上場企業として世の中に開示しなければならない、PRよりIR寄りの発信もあるでしょう。また、プレスリリースにより公表した形跡を世間に示す必要があることもあるでしょう。

しかしながら、何らかのメディアに取り上げられることを期待してリリースするのであれば露出に至るシミュレーションが必要です。例えば、テレビなら映像で見せられる対象物が必要となります。

単に新製品・新たなサービスをお客様のお買い上げ・ご利用に繋げるためのプレスリリースを報道関係は敬遠しがちです。メディアの報道目線からすれば「新発売については広告でお伝え下さい」となります。

本気でテレビで取り上げてもらいたいのであれば、どの番組、その中のどのコーナーまで想定することも必要で一律のリリースで済む時代は終わったと感じています。


マスコミにとってのフック

報道関係者へのフックは「公共善」に尽きると思っています。つまり皆のためになるかどうか、世の中を良くするかどうか、また日本が世界に誇れることかどうか、日本初或いは世界初かどうかいうことです。このことは前職から「報道目線」として各所でお話しする機会がありました。

自社製品を売りたい、我が社への受注、といった企業側のご都合を前面に出すことなく、その製品の圧倒的な強味、業界標準に照らし合わせた斬新さ、広く皆さまのお役立ちとなるポイントを軸に短く開発ストーリー(ご苦労話等)なども加味されると、プレスリリースも読み物として興味を惹く内容になると思います。

そしてそのようなプレスリリース内容に興味を持ってくれそうな番組・番組関係者向けに郵送することもデジタル全盛の今、時には有効であると想像します。

さて、その一方でお気づきのとおり、マーケティングフレンドリーなテレビ番組も増えています。新製品、商業施設の開店、商品ランキングといった商業情報が番組に盛り込まれやすくなってきた背景についての考察は後日共有させて頂きます。


余談ですが共有したいこと

10年ほど参加させて頂いていたロータリークラブでは米国で大恐慌時代に策定された言行指針、The four way testがあります。

1. 真実かどうか
2. みんなに公平か
3. 好意と友情を深めるか
4. みんなのためになるかどうか

前職ではジャーナリズムの心髄は批判目線であると習ってきましたが、世間に知らしめることの意味を考える時、いつも思い返される言葉です。
ご存じの方も多いと存じつつご参考までに。

 

プロフィール

株式会社エムシーストラテジー
代表取締役 槇 徳子

20年に渡りCBC、テレビ東京に勤務、あらゆる時間帯のニュース番組を担当。今も続くニュースモーニングサテライトの立ち上げ等、10年以上金融情報番組に携わりました。報道する側の経験を基に2008年エムシーストラテジーを起業、経営者や研究者を対象にテレビ出演はじめインタビューなどをサポート。クライアントのセミナーやオープニングパーティーなどイベントでも情報発信戦略に関わり、HP等自社メディアコンテンツからプレスリリース文言まで、あらゆる側面から情報発信アドバイザリーをしています。


2022年、2023年 日経新聞広告賞審査員

2022年~(株)ミンカブ・ジ・インフォノイド社外取締役


Webサイト:株式会社エムシーストラテジー

プレスリレーションを考える

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