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アイザワ証券株式会社 ソリューション本部 ソリューション部長   加藤 義弘

連携戦略で顧客の希望届ける

アイザワ証券は、お客様に希望を届ける「Hope Courier(ホープクーリエ)」をビジョンに掲げる。このため資産運用・形成にとどまらず、相続・事業承継やビジネスマッチングなど多彩なソリューションサービスを揃える。加藤義弘ソリューション部長は「金融機関や教育機関など外部との連携で、お客様のあらゆる課題を解決する」とアピール。「困ったらアイザワに相談すると何とかしてくれる」という信頼関係の構築に力を入れる。

――ソリューションビジネスの拡充に注力している
相続や事業承継などお客様の課題に応えていく中でサービスの幅がどんどん広がっていった。法人向けではIPO(新規株式公開)やM&A(企業の合併・買収)、ビジネスマッチングなど多岐にわたる。地方創生にも取り組んできた。社内の専門部署と社外の専門家が連携し、お客様に最適なソリューションを提供している。
時代のニーズに合わせた新たな取り組みも多いのでは
2013年4月に「経営革新等支援機関」に金融商品取引業者として初めて認定された。これにより中小企業に対し専門性の高い支援事業を提供できる。補助金の申請支援や販路拡大、事業パートナーの紹介など、お客様の様々な課題解決をサポートしてきた。新型コロナウイルス対策の補助金などの申請支援は喜ばれた。証券会社はデッドファイナンス機能を持っておらず、お客様から資金調達についての相談を受けても、できずにもどかしい思いをしていたが、認定されたことで応えられるようになった。
どんな相談が増えているのか
お客様の高齢化もあって相続・事業承継、M&Aが多い。またコロナ収束後は消費行動が活発になってきたことから販路拡大ニーズが増えている。地元から他地域に広げたいという相談なので、地域密着の地域金融機関はエリアが限定され応えにくい。このため我々がハブになって、連携金融機関同士が情報交換する機会を設け、互いに商品を紹介しあっている。M&Aなども同様で、地域内で相手を見つけるのは難しいし、嫌がられる場合もあるので、地域をまたぐようになる。地域外が重要になるわけだから、我々が果たす役割は大きい。
24年度までの中期経営計画の進捗状況は
中計では①徹底的なお客様目線②ブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへ③プラットフォームビジネスの拡大④グループ連携の強化⑤サステナブルな未来への実現を目指す―を掲げている。ソリューション部は広くかかわっており、地方創生では地域金融機関や教育機関、自治体といった連携先ネットワークを活用してお客様支援に取り組んでいる。順調だが、地域内で資金循環する仕組みを整えたい。
本業である資産運用・形成は
新NISA(少額投資非課税制度)で盛り上がっているが、資産形成の理解度は全般的にまだ低い。小中学生から社会人まで金融リテラシー教育が必要で、連携教育機関を中心に講義やセミナーを開催している。21年に確定拠出基金運営管理機関として登録されたが、投資先として積立預金が多い。金融リテラシーの低さを物語っている。新NISAの積立投資枠を使って1万円ずつでもいいので積み立てることが大事だ。10~20年後には統計的にも損をだしにくい。
地域金融機関や教育機関などとの連携も増えている
静岡大学や近畿大学などと包括業務提携を結んでいる。静岡大とは産学連携や大学発ベンチャー育成支援などに取り組んでいる。18年5月から浜松キャンパスで「アイザワゼミ(起業・ビジネス人材育成ゼミ)」を開始、アントレプレナーの育成に注力している。
名刺には「静岡大学客員准教授」とあるが
起業に興味がある学生に対し基礎知識の習得をサポートしている。経営が面白くなって休学して起業する学生もいる。ただ「卒業はしなさい」といっている。浜松には新しいことに果敢に挑む「やらまいか」精神が旺盛で、多くの世界的企業を生んできた。ゼミ参加者も大学1年生が最も多い。単位取得にならないが、「面白いことをやりたい」といって参加する。起業して経営に失敗しても、起業に結びつかなくてもいい経験になる。社会人になって課題解決のための新規プロジェクトづくりなどに生かせる。決して無駄にならない、イノベーションを起こしてほしい。
その波をつくってほしい
起業には夢がある。日本のプロ野球選手の年俸では宇宙に行けないが、起業して成功(して売却)すれば宇宙旅行を楽しめる。我々は証券会社で唯一、税制適格ストックオプションの管理を行っている。未上場のまま、税制面で優遇を受けられる税制適格性を維持したまま権利行使と売却ができるもので、管理を求めるのはIPOを目指す成長意欲の高いベンチャーだ。自社で管理することもできるが、「預かってほしい」とやってくる。ニッチな業務だが、IPOやM&Aといった資本政策にかかわれるのは大きい。
連携戦略に注力する理由は
お客様は上場企業やベンチャーも増えているが、メインユーザーは中小・零細企業。お客様の規模などにかかわらず、分け隔てなく同じソリューションサービスを提供している。そのために取った戦略で、連携先のいろいろなサービスを活用できるのが強みだ。お客様のニーズを受けて、当社で対応できなくても連携ネットワークの専門家と対応する。当社はいわば前さばき、道先案内だ。我々のネットワークに入りたい地域金融機関や士業も多い。
――今後の展開は
独自性を出していく。連携戦略に磨きをかけ、ニーズを拾い上げ、ニッチ分野も含め他社がチャレンジしないところに出ていく。「証券会社だからやる」は時代遅れで、「証券会社なのにやる」が大事になってくる。事業会社も含めて我々が提供できるサービスを取り込む。これにより「困ったらとりあえずアイザワに相談すると何とかしてくれる」信頼関係を構築し、地域になくてはならない、いなくては困る存在になる。まさにホープクーリエであり、追求していく。

加藤 義弘(かとう・よしひろ)
アイザワ証券株式会社 ソリューション本部 ソリューション部長

2003年藍澤證券株式会社(現アイザワ証券株式会社)入社。個人・法人営業、上場企業の企業買収や資金調達業務に従事。2回の出向で、中小企業の私募債発行による資金調達業務、ベンチャーキャピタル業務も経験。2011年よりソリューション部門の一員として相続・事業承継、資本政策、M&Aなどを扱いながら、大学や地域金融機関との包括提携も主導し、2019年より現職。現在、国立大学法人静岡大学イノベーション社会連携推進機構客員准教授として、大学発ベンチャー企業支援や学生の起業家教育も務める。

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