第82回「かわさき起業家オーディションビジネス・アイデアシーズ市場」の最終選考会が3月15日、川崎市産業振興会館で開催された。
今年で13年目を迎える同オーディションは2001年11月の第1回から2013年3月までで、全82回のオーディションを開催し、応募は学生を含めて1659件に達し、受賞者も560件を数える。同オーディションは年6回開催しており、川崎市内に限らず日本全国からビジネスアイデアを募集している。受賞者は、販路拡大、資金調達の支援やベンチャーキャピタリスト、ビジネスパートナーとの出会いの場の提供などアイデアを実現するためのサポートを受けることができる。今回は、海外展開を目指す「海外展開ビジネスプラン」を発表する枠を別に設け、書類および面接審査を通過した7社が、各15分間のプレゼンを行った。
選考の結果、ロイヤルブルーティージャパン(川崎市川崎区)、日本ベーシック(川崎市中原区)、シマ・ビケン(東京都港区)の3社が、成長性・収益性が見込める優秀なプランに贈られる「かわさき起業家優秀賞」を受賞した。
2006年の第41回同オーディションに続き、2回目の出場となったロイヤルブルーティージャパンの吉本桂子代表取締役社長は、世界中の航空機ファーストクラスに高級ボトリングティー(高級ノンアルコール飲料)サービスを導入する事業について発表した。
同社は航空業界ファーストクラスのノンアルコールドリンクがエコノミークラスとほぼ同じサービスを提供していることに着目し、 同社が開発製造した青茶「Queen of Blue」を2011年5月より、JAL国際線ファーストクラス全便に導入することに成功。サービス開始後も、「アルコールを嗜まない搭乗者だけではなく、アルコールを嗜む搭乗者も楽しめる」と高い評価を得ている。同社は世界中の航空会社のファーストクラスも同じ状況と想定しており、10年間でワインボトル入りの「ロイヤルブルーティー」を全世界の航空業界の定番にすることを目標としている。
日本ベーシックの 勝浦雄一代表取締役は自転車一体型浄水装置「Cycloclean」を活用したBOPビジネスについて発表。
現在、全世界の貧困層は40億人で、水に関するBOP事業の市場規模は1兆8,000億円と言われている。自転車一体型災害用浄水装置を製造販売している同社は、2013年6月に八千代エンジニアリング、バングラデッシュの現地パートナーであるDesh Bidesh Enterprose社と、3社で現地合弁会社の設立を予定している。最初はJAICAの支援の下、バングラデッシュ都市部へのアプローチを開始し、その後、世界最大のNGOであるBRACと提携し、BRACの持つ農村部(無電源地域)のネットワークを活用して農村部のBOP層へ市場を広げていくことを目標としている。最終的にはバングラデッシュからインド、ミャンマーなどの周辺国への展開も視野に入れている。
シマ・ビケンの戸島裕司代表取締役は、共生発酵技術を応用した広範囲なビジネスの展開について発表した。
これまで酵母の発酵は、他種の酵母同士では相性が悪く、一種のみで繁殖するか、または全ての種が全滅してしまうということが定説だった。同社は長年に渡る研究の結果、培地の作り方しだいで、「共生発酵」が可能であることを発見した(関連特許取得、申請済み)。また、野菜・果物類や第一次食材(植物・魚・畜肉等)を「共生発酵」させ、第二次食材として、発酵ピューレ化(半液状化)することに成功した。共生発酵によってできた食材は栄養価が高く吸収性もよいため、介護・病人食・育児食に適しており、共生発酵による抗菌・抗酸化機能により、常温で長期保存することも可能で、応用範囲をさらに拡大していく予定。
【主催者賞受賞者】
▽かわさき起業家優秀賞
ロイヤルブルーティージャパン 吉本桂子氏
▽かわさきビジネス・アイデアシーズ賞
ジャパンスタイルデザイン 飯島美帆氏 / 河京子氏(前列右から)
▽かわさき起業家賞
パーソナル 永塚徹氏 / 大和産業 岡田隆氏
▽かわさき起業家優秀賞
シマ・ビケン 戸島裕司氏 / 日本ベーシック 勝浦雄一氏(後列左から)
「フジサンケイビジネスアイ」