農業におけるビッグデータ活用
ただしユースケースの中では特に生産インプット削減と機器の保守分野などが事業機会としては注目すべき(ラックスリサーチ調べ)
2015年7月1日 – 新エネルギー、素材・化学品、ライフサイエンス分野における先端技術を専門とする米調査会社ラックスリサーチ(本社:ボストン、社長:デニス・フィルビン、www.luxresearchinc.com)では精密農業におけるビッグデータ活用に関する調査を実施しました。
センサーでのデータ収集、インプット量調整、データ分析など、ビッグデータの活用を農業に取り込む精密農業は、食料生産に効率化をもたらします。データ活用という量的アプローチを効果的に導入・活用することで環境負荷を低減でき、また世界人口の急増に見合う農産物の生産が可能となります。
しかし、現状としては、農場経営者はビッグデータの価値を十分認識できているとは言えません。精密農業分野にてビッグデータ活用を推進する技術開発者は、商品やサービスにおける付加価値やユースケース、ビジネスケースを明確に提示していくことが重要です。
ラックスリサーチのリサーチディレクター、マーク・ビンガーは、『精密農業におけるビッグデータ (“Big Data in Precision Agriculture”)』と題した調査レポートにて次のように指摘しています。
『ビッグデータは農業の効率化に大きく貢献することができます。ただし情報は豊富で情報処理能力においても申し分ないものの、大量のデータを農場運営者にとって利用しやすい形で提供していくというのが未だ課題です。農業向けシステムが一般化した今日でも、システム導入を躊躇する農場運営者は多くいます。』
ラックスリサーチでは、ビッグデータの精密農業における活用について市場動向を調査しました。以下が調査結果の一部です。
• 農場から食卓までの経済性や付加価値にフォーカスすることが重要。農業分野では、農場の土や微生物から世界的な気候変動と非常に複雑なエコシステムでの事業運営が求められ、加えて産業を問わず不可欠なマーケティングや財務という機能も必要。農業分野でのビッグデータ戦略としては、作物の収益性を増加するという農場レベルにおける効率化(戦術レベル)から、農業による環境への悪影響を抑えつつも食料を安定的に供給するという、地域や世界レベルにおける課題対応(戦略レベル)へと、「農場からフォークまで(Farm-to-Fork)」の視野で付加価値を明示する必要がある。
• ユースケースは主に5つのカテゴリーに分類される。ラックスリサーチでは農業におけるビッグデータ活用を120のユースケースから分析し、5カテゴリーを特定。
1. 作物生産に必要なインプット削減しつつ、アウトプットを増加させる
2. 機器の管理、保守
3. 資金管理、運営全般
4. 市場における最高価格の特定
5. 規制対応
• 投資促進には資本回収見込みの明示が重要。農業におけるビッグデータへの投資には、明らかに有益なユースケースであったとしてもビジネスケースの提示は不可欠。売上増加や費用削減など、具体的で測定可能な資本回収に加え、顧客満足改善や競争面での優位性などソフト面でのベネフィットを提示していくことも重要。
『精密農業におけるビッグデータ(“Big Data in Precision Agriculture.”)』レポートはラックスリサーチの『Big Data』および『Agro Innovation』インテリジェンスサービスにて提供しております。
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