世界初　特許全文中の物性値が検索可能

化学情報協会　情報事業部長　上野京子氏

化学情報協会（理事長　小沼和彦氏）は、２０１１特許・情報フェア＆コンファレンス（１１月９日（水）－１１日　東京・北の丸公園　科学技術館）にて、ＳＴＮ、ＳＴＮ ＡｎａＶｉｓｔなど各製品についての展示とデモンストレーションを行う（ブース番号２３　(５号館)）。同協会は企業、大学の研究者や知財関係者を対象に科学分野における論文・特許情報や物性情報のデータベース検索サービスを提供する団体。

　提供する主なサービスはＳｃｉＦｉｎｄｅｒ とSTNである。SciFinderは米国化学会の情報部門であるCAS（Chemical　Abstracts　Service）が作成する医薬、生化学、物理、工学等の科学情報を研究者自身が利用できるオンライン検索サービスで、主に大学や企業の研究者を対象としている。STNは米国のCASとドイツのFIZ　Karlsruheが共同で提供する科学技術分野のオンライン情報サービス。世界中のあらゆる科学技術分野を包括する文献・特許データベース、物質データベース、特許全文データベース、数値データベースなどのあらゆるタイプの情報を幅広く収録した多彩なデータベースの検索が可能となっている。STNは主に知財部門や情報部門の専門家を対象としたサービスである。企業が新製品や新技術を開発する際の技術情報の収集は不可欠である。また、自社の製品作りにあたり他社ですでに特許として申請されているかどうかを知ることは企業戦略上重大な意味を持つ。各国特許庁のデータベースを利用すれば、自分で研究情報、特許情報などを無料で検索することも可能であるが、検索の効率性や万が一の検索漏れが生じた際の損失は計り知れないため、専門の検索サービスが必要とされている。

　今回注目されているのはSTNの世界初の機能である”特許全文中の数値検索”。「これまでは検索で１０ｍは「１０ｍ」としてしか検索できなかったが、１０ｍは１０００ｃｍや３９３，７inchなど別の単位でも検索できるようになった。また、５－２０ｍと範囲を指定して検索することで１０ｍを含んだ数値範囲内の全ての特許が検索できるようになった」と同協会情報事業部長上野京子氏＝写真＝は語る。