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株式会社ホリケン 代表取締役社長   柴 晴樹

労災軽減アプリで建築現場の業界標準目指す

建築業の施工・管理請負を専門とするホリケンは、施工現場で働く作業員の労働環境を改善するソフトウエア開発事業にも注力する。中でも、労働災害リスクを軽減する「安災システム」は好評で、現場で欠かせないツールとして顧客を増やしている。2023年9月に2代目社長に就任した柴晴樹氏は「我々は現場を知っているからこそ、必要な機能を備えたアプリを開発できた」と胸を張る。建築現場の労災軽減ツールとして業界標準を目指す。

――安災システムとは
労災を防ぐために必要な安全教育をスマートフォンやパソコンで受けられるアプリです。現場で働く作業員はいつ、どこでという時間や場所に縛られず、好きなとき(空き時間)にリモート参加できます。このため教育を行う事業者側も会場の準備や紙の資料の作成・印刷から配布までの手間(時間と経費)を減らせることから、安災システムが受け入れられています。
――現場に入る作業員は教育を受ける必要があるのでしょうか
安全作業の定着には、現場で働く全員が安全意識を高める必要があります。このため、その現場に初めて入る作業員にルールや注意事項を事前に伝える『新規入場者教育』が労働安全衛生規則により定められており、1人1回は必ず受講することになります。しかし毎日のように新人が入るし、応援は午後になっても頻繁にやってきます。その都度、教育する時間と場所を設けるのは大変です。伝える内容も同じなので、繰り返し説明しなければならないのも負担になります。
――双方に負担となるわけですね
安全教育は仕事に支障をきたさないように朝礼の前後に指定場所に集まって受けます。しかし建築業界は人手不足もあって、どの現場も工期の日程がひっ迫しています。このため現場では決まった時間に集まって教育を受けるのは難しく、受けている間は仕事ができない(稼げない)ので、もったいないということになります。多くの作業員に集まってほしいが、時間帯によっては仕事の関係から集まっての参加が難しい作業員も多いです。
――スマホで空き時間に聞くことができるメリットは大きい
安災システムなら必要事項をすべて伝えられるリモート開催により受講者が数倍増えたという事業者もいます。1次下請けから2次、3次下請けまで広げる動きも出ています。元請けは安全指示をすべての作業員に伝えることができる上、画面を通して参加者が分かるので、集計の手間もかかりません。ルールを知らずに現場に入ると事故につながりかねませんが、危険を理解して現場入場できるので効果があると好評です。
――利用状況は
グループ会社のホリケンソリューションズが販売を担当しています。アプリを利用するアカウント登録者は約8000人で、大和ハウス工業やパナソニックリビング、TOTOエムテックなどの大手企業から中小企業にわたり採用企業は約4000社に達します。安災システムは特許を取得していることから信頼され、大手を中心に顧客を増やしています。取得した特許は11件となり、我々の強みとなっています。ただ我々の本業はあくまでも建築です。おろそかにすると新規事業のIT事業(ソフト開発など)もうまくいかなくなります。地に足をつけ、自信をもって事業を展開していくことが肝心だと考えています。
――社長に就任して約半年が経ちました
(創業者で初代社長の)堀峰也会長から、23年9月に有限会社から株式会社に移行するのを機に社長を譲るといわれました。それまで取締役として建物診断や現場の手配などを任されていましたが、その言葉を聞いて気合が入りました。ただ経営の経験は全くなかったので、とにかく勉強するしかないと思い、会長から一つずつ教わることにしました。経営を少しずつ任されるように全力で取り組んでいます。
――大事にしたいことは
会長の信念を引き継ぐことに尽きます。それは会社方針の『知行合一』であり、『人への思い五箇条(義理、行動、挨拶、清掃、感謝)』です。挨拶や礼儀など、人として当たり前のことですが、忘れやすいことでもあります。会長から厳しく教えられた『初心を忘るべからず』を常に意識して、社員とともに行動していきます。そうすることで協力会社様、職人様とも一丸となり行動を共にし、今まで以上の社会貢献を目指します。

柴 晴樹(しば・はるき)
株式会社ホリケン 代表取締役社長

2011年11月1日 入社
その後、3ヶ月間の大工工事業務を経て、新築工事の現場管理へ移行。
現場管理業務を5年間経験した後、アフターメンテナンス業務へ移行。

2018年9月1日 取締役就任
建物診断業務を中心にアフターメンテナンス業務を行う。

2023年9月1日 代表取締役社長就任

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