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株式会社コーチビジネス研究所 代表取締役   五十嵐 久

コーチングを通じて中小企業経営者を支援

欧米の企業経営者やトップアスリートの世界では一般的になっているコーチングだが、日本ではまだまだなじみが薄い。コーチングは、相手の話に耳を傾け、観察や質問、提案などを通して内面にある意志や答えを引き出す目標達成手法だが、日本ではそうした相談相手はもっぱら知人や家族などになりがちだ。専門的な知識や技術を有するプロのコーチは、頭の中を整理し、着実な目的達成のための戦略立案などをサポートする。コーチビジネス研究所の五十嵐久代表取締役は、このコーチングという手法を通じて特に中小企業経営者を支援するとともに、質の高いプロのコーチを養成しようと奔走している。

――中小企業の経営者に対するコーチングを展開してきましたね
優れたアスリートには皆コーチが付いているように、経営者にコーチという存在がいたらもっともっと大きなパフォーマンスを発揮できる力になれるのではと考え、”経営者一人一人にコーチを”というビジョンを掲げ、日本にエグゼクティブコーチを普及させたいとの思いで活動を続けています。コーチビジネス研究所では、経営者に対する一対一のコーチングのほか、コーチングの手法を活用した『1on1(ワンオンワン)ミーティングの効果的な進め方』や『調和マネジメント』などの組織開発研修も実施しています。また、コーチングを学びたい、コーチになりたい、という人向けのエグゼクティブコーチ養成講座も行っています。
――コーチに対するニーズはどうですか
アメリカでは経営者の7割はコーチを付けていると言われるくらいコーチングが普及していますが、日本でもコーチを付けたいというニーズは着実に増えてきています。最近は1対1のコーチングだけでなくチームコーチングの手法を用いた組織変革も注目されています。同時に、コーチになりたいという人も増えています。この背景にはコロナ禍があったようにも思います。コロナで仕事をやめたり、在宅勤務などで時間ができ、今後のことをいろいろと考える人が増え、そうした中でコーチングを学びたい人、コーチ志望の人が出てきたのだろうと思います。ただ、いいかげんなコーチ、専門的な技術や知識を持たないコーチも増えています。これは業界にとっても良くないことです。コーチの資格は民間資格ということもあり、スクールによって教える内容も違っています。業界全体の課題でもあります。
――養成講座でも経営者向けのコーチをターゲットにしているのですか
中小企業の経営者にコーチングできるコーチを育てることを目的とした日本で唯一のエグゼクティブコーチの養成を行っています。
コーチには大きく分けて3つの分野があります。1つは個人の課題解決を支援する『ライフコーチ』、2つ目がビジネスマンに対してビジネス上の課題解決を支援する『ビジネスコーチ』、そして3つ目が主に経営者の課題解決をサポートする『エグゼクティブコーチ』です。 エグゼクティブコーチは、経営者のプライベートな相談から経営上の課題まで幅広く対応できる力が求められます。そのためライフコーチやビジネスコーチの分野を問わず、両方ができるより高いスキルが求められます。
――中小企業は多くの課題を抱えていますし、経営者は孤独ですからね
まだまだコーチをつける中小企業経営者は多くありませんが、増えてはきました。特に30~40歳代の若い経営者や二代目、三代目といった家業を継いだ経営者でコーチをつけるケースが目立ちます。
経営者の方は、日々様々な課題に追われています。そのため、考えなければならない重要な課題が先送りになってしまっているという方が多いです。また、自分の考えが社員にうまく伝わっていない気がする、リーダーが育たない、そんなお悩みを抱えている経営者の方もいらっしゃいます。そんな経営者のいわば”壁打ち相手”となって思考の整理やアイデア出しのお手伝いをします。コーチというと、スポーツのコーチのように、教える人、指導者と思われている方が多いですが、指導者ではありません。”答えは相手の中にある”と信じ、その答えを見つけるパートナーになるという、基本的な考えに基づいています。自分自身をより良く活かす、人と組織の可能性を最大化することを目的としています。
――中小企業経営者やビジネスマンの相談にのるという意味では税理士やコンサルタントなんかもそうですね
そうですね。経営者の身近な存在である税理士やコンサルタントの皆さんには、是非コーチングを学んでほしいと思います。コンサルタントは、主にモノやコトに視点を当て、問題点を見つけ解決策を提示するのが仕事ですが、コーチはモノやコトではなく、経営者の感情や気持ち、経営者が課題と向き合う、その向き合い方を扱います。現代は答えのない時代と言われます。私も中小企業診断士でもありますが、AI(人工知能)の登場などによって、これまでのような分析的・論理的なアプローチだけでは限界があるように感じています。
コーチングは、経営者それぞれの個性を生かし、経営者自身の持っている力を最大限に引き出すことにあります。こうしたコーチングを通じた経営者の支援を、今後もっと広めていきたいと思います。経営者のコーチングに対する抵抗感を和らげ、多くの経営者が利用するサービスへと発展させたいですね。
こうしたコーチングの世界を広げるための施策のひとつとして、7月14、15日には日本エグゼクティブコーチ協会の主催で『チャレンジを支援する会社を作ろう』と題するオンラインシンポジウムを開催します。コーチングで未来を応援するという考えや意義などを発信したいと考えています。
五十嵐 久(いがらし・ひさし)
株式会社コーチビジネス研究所 代表取締役
公的な中小企業支援機関で、中小企業診断士として、資金調達支援、起業・再生支援、経営相談等に従事。2005年に認定コーチとなり、主に経営者や起業家を対象したエグゼクティブ・コーチとして活動開始。他のコーチングスクール・団体の代表等を経て、2014年3月、(株)コーチビジネス研究所設立、代表取締役就任。2019年12月一般社団法人エグゼクティブコーチ協会会長に就任。
国際コーチング連盟認定プロフェツショナルコーチ。

Webサイト: http://coaching-labo.co.jp/

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