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一般財団法人 立志財団 理事長   坂本 憲彦

立志教育で人々を幸せに導く 仕事を自分事と捉えモチベーション向上

一般財団法人立志財団は、創立者の坂本憲彦氏が2017年9月、志ある起業家・経営者を育成する教育団体として設立した。世のため、人のために活躍する起業家が増えることが、日本や世界を幸せにすると考えたからだ。立ち上げてから6年目に入り、経営理念を「起業家教育で人々を幸せに」から「立志教育で人々を幸せに」に進化させた。立志の対象を起業家だけにとどまらず、もっと多くの人に広げたいとの思いからだ。坂本氏は「起業家支援をベースに、経営は〝志〟が大事だと伝えていく」と話した。

――財団は起業家支援のために立ち上げた
10年以上にわたって起業家教育に携わった経験をもとに、志ある起業家を育成したいとの思いから17年に設立した。夢や志を見つけるための教育のほか、知識だけではなく、実践で学ぶ起業家教育などを取り入れて、本物の起業家を育てている。
――本物の起業家とは
参加者の7割は起業した人で、残り3割は起業を目指す社会人たちだ。参加することで、これから起業したい人も、起業してさらに飛躍したい人も立志、つまり企業でいうところのミッション、理念に当たる『真志命』を発見できる。会社経営の中で最も大事なことである『何のためにこの事業を行っているのか』ということが見つかる。
――「ミッションが大事」ということに行きついた経緯は
起業してから会社というのはいつも追い風が吹くわけではなく、転機が訪れる。このときに見つめ直すのが『やりたいことは何か』、つまりミッションだ。起業家人生の棚卸しともいえる。私自身も会社を立ち上げてからいつも順風だったわけではない。30歳で独立してネット通販の会社を設立した。成功して規模も大きくなり売り上げは5億円以上になったが、売り上げ中心の経営で社員がついてこなかった。このとき社員は600人規模に膨らみ、不平不満や幹部対立などが起こった。マネジメントが難しくなったのはミッションを持っていなかったからだと気づいた。大事なのは志、つまり社長が何をやりたいのかを明確に示すことにほかならない。
――経営理念を立志教育に変えたきっかけは
人材派遣会社から昨春、社員に『真志命』について話をしてほしいと依頼された。真志命により、自分の使命が何かということに気づくと人生の軸が定まる。仕事をするにしても、上司から言われて仕事をするのと、自分事として仕事をするのとでは質が違ってくる。自分事と捉えて仕事をすればモチベーションが高まり成果につながる。対象を起業家に限るのではなく、もっと多くの人に伝えるべきだと思い始めたのがきっかけだった。
――「志が大事だ」といっても、なかなか理解できない
確かに、社会人の9割は志を意識していない。やる気より生活のために仕事に就いている。しかし自分を掘り下げていくと、本気になって取り組むべきことに気づく。生まれてから今までを振り返る自分史から、自分の人生に共通するテーマ、つまりやりたいことが見つかる。
――仕事にも生きるのか
やりたいことが見つかって選んで入った会社なので、仕事も自分事になり、組織も自主的、自律的な人材が出てくる。するとイノベーションも起こりやすくなる。こうなると会社を辞めずに残る人材は本物であり、しがみつく社員はいなくなる。次代のリーダー、後継者の育成にもつながる。我々の立志教育は社長の思いを受け継ぐ手伝いともいえる。後継者難の今こそ必要であり、立志教育を導入する会社を増やしたい。
――近年はベンチャーブームでもある
たとえ起業して失敗しても、他人に迷惑を掛けないなら経験値としていいことだが、とはいえ安易に起業すべきではない。自分の価値観、志と合うものでないと苦しくなる。起業志望者は我々のところに相談に来るが、『あなたはどうしたいのかを自分の言葉で話しなさい』とアドバイスする。売り上げより大事なものは志だからで、事業を長く続けるためにも必要なことだ。
――日本には創業100年を超す老舗企業が少なくない
世界の100年企業の半分以上は日本企業だ。ビジネスモデルは時代とともに変わっているが、創業者の志、思いは変わっていない。受け継ぐのは創業者の志で、それに自分の志を融合していくことで会社は長く続く。
――事業計画にどのように落とし込むのか
我々は、自分の軸を見つけて100年続く事業を見据えて計画を作るように指導している。この計画は『百年大計』と呼んでいる。通常の3、5カ年計画はその場しのぎの数字合わせで終わってしまう。100年後にどうなりたいのか、どうしたいのかを考え、そこから30年、20年、10年、来年、そして今の事業計画を具体化させる。
――今後の展開は
志の教育を広げることで次世代を育てる。『立志一万』をスローガンに掲げ、本物の志を持つリーダーを増やす。立志した人が1万人になれば日本も元気になり、じり貧の日本経済を救えるからだ。本来強かったはずの日本を復活させる手段が立志教育だと思っている。立志教育により、みんなが本当にやりたいことを見つけ、それをやっていくことが日本にとって本当に大事になってくる。
坂本 憲彦(さかもと・のりひこ)
一般財団法人 立志財団 理事長
起業家育成コンサルタント
1975年、和歌山県生まれ。

下関市立大学を卒業後、西日本シティ銀行に入行。6年間、法人・個人向けの融資や営業を担当する。30歳で独立し、ビジネススクール、速読講座、飲食店、貸会議室などを立ち上げ年商5億円まで成長させる。また、10年以上にわたり、1万人以上の起業家・経営者の指導を続けている。

自社開催の起業家育成セミナーは500回以上開催し、延べ1万人以上が参加。富士ゼロックスやメットライフ生命、商工会議所、倫理法人会などの法人向けにもセミナーを開催しており、パソナ創業者南部靖之氏との講演実績もある。

「すべての人を真に導く」を真の使命として志ある起業家の育成に全力をかけて邁進している。起業家育成の活動の一環として2017年9月、一般財団法人立志財団を設立。2017年12月には実務教育出版より書籍『6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する』を出版し、日本と台湾で累計2万部のベストセラーとなる。

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