景気の不透明感に伴う企業活動の縮小などにより、オフィスビルの空室率が高止まりで推移している。これに伴い、着実に増えているのが遊休スペースを活用した貸し会議室。「アットビジネスセンター」を展開する不動産仲介業のアットオフィス(東京都目黒区)も急ピッチで事業を拡大しており、2年後に現在の倍に相当する3600席まで増やす方針を掲げる。大竹啓裕(たかひろ)社長に今後の戦略などについて聞いた。
--貸し会議室に参入したきっかけは
「第1号物件は東京・池袋駅から徒歩1分以内にあり、2009年10月に本格オープンした。このビルは10階建てで、当初は外資系金融機関が丸ごと1棟を借りる予定だったが、08年のリーマン・ショックで事業の縮小を強いられ6階以上が空室となった。これを受けてオーナー側から空室対策の要請があり、レンタルオフィスとして再生した」
--現在の事業規模は
「14施設で1810席の会議室運営を手がけ、大手の一角にある。セミナー関係の利用が多く、2年間の延べ利用者は15万人。再利用率も高い」
--貸し会議室市場を取り巻く環境は
「1月末時点の東京都心5区の空室率は9%台と、高い水準が続く。就労人口の減少に加え、景気後退によってオフィスを縮小しているからだ。また、企業はコスト削減策の一環として、会議室など有効に活用されていない空間を手放し、必要なときに利用するという動きが顕在化している。これらを背景に、貸し会議室の需要が高まっている」
--東京・大手町では、三菱総合研究所の旧本社ビルを活用した「アットビジネスセンター大手町」を開設した
「三菱総研が導入した既存設備を活用しているため、通常の“大手町価格”に比べ2割程度安い料金体系を導入している。例えば大手町には4~6人向けの小型ミーティングスペースはなかなかないが、1人当たりコーヒー1杯分の料金で利用できるスペースを用意した。100人以上の大型会場には同時通訳スペースを設置し、割安な価格で国際会議を取り込んでいく。このビルは神田側から見て、大手町の入り口に位置する。オーナーの三菱地所からは、これまでとは異なる人の流れを作ってほしいという要請がある」
--今後の事業計画は
「当社の主力業務はあくまで不動産仲介。ビルのオーナーと連携を図りながら、テナント募集を効率的に進めることを最大の課題とする。そのうえで、貸し会議室事業に力を入れていく。目標数は現在(1810席)の倍だが、数ばかりを追うのではなく、いいものをしっかりと供給していきたい」(伊藤俊祐)
【プロフィル】
大竹啓裕
おおたけ・たかひろ
セコムの営業や「らあめん花月嵐」を運営するグロービート・ジャパン創業などに携わった後、2006年アットオフィス社長。
47歳。福島県出身。
「フジサンケイビジネスアイ」