■宮崎経済活性化の一助に
スマートフォンの動作を検証するスタッフ。gooyaは自社で検証経験を積んできた=東京都渋谷区
スマートフォン(高機能携帯電話)向けアプリケーションソフトの検証に特化した拠点が4月に宮崎県に誕生する。仕掛けるのは、アプリの企画や開発などを手がける「gooya(ゴーヤ)」(東京都渋谷区)だ。同社は、宮崎経済の活性化の一助を担いたいと意気込む。
同社は、アプリ制作を通じて培った検証ノウハウを土台に、宮崎市のオフィスビル内に床面積約210平方メートル規模を誇るスマホ特化の検証センター「gooya BPOセンター宮崎」を開設する。約50人の検証スタッフを配置し、順次増員と増床を図る計画だ。
センターは、スマホ関連の検証業務を一手に引き受ける。例えば、スマホ向け新規アプリを開発したソフトウエア会社の依頼を受け、市販された実機で試験的にアプリを起動させ、指先による入力に応じて正しく動作するかを確かめる。機種によってディスプレーの寸法が異なることを踏まえ、表示やセキュリティーの検証も行う。その際、国内で市販された全機種でアプリ検証を行うことも可能だ。最終的には、不具合の是非を依頼企業に報告する。想定する検証サービスの価格は、10機種を検証する場合で10万円から。
センター開設の背景には、米グーグルの携帯端末向け 基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホの爆発的な普及がある。これにともない端末の種類やOSのバージョンが増え、アプリ開発時の動作検証の手間も増加傾向にある。
国内通信事業者が販売するスマホに限ってみても、150機種前後が存在している。このため、中小のアプリ開発会社が自前で実機や検証要員を確保して高品質の検証作業を実現することが難しくなっており、検証業務を外部委託するニーズが高まると判断した。
進出先として宮崎を選んだ理由は、IT(情報技術)産業の集積化に熱心だったため。これを踏まえて昨年12月に進出を決め、1月に宮崎市から「県外誘致企業」の認定を受けた。
杉村隆行代表取締役は、インターネット上の業務データを地域間で交換し広域的に仕事を進める「分業型就業」に注目してきた。宮崎進出の背後には、その可能性を実証したいという思いもある。「今回の検証業務を通じて、宮崎の雇用創出とIT人材の育成に貢献したい」と杉村氏。検証スタッフは地元を中心に採用し、2014年末には3倍の150人に増したい考えだ。(臼井慎太郎)
「フジサンケイビジネスアイ」