日本は人口減少時代に突入している。この傾向に歯止めをかけるためには、単純換算すると1人の女性が生涯に生む子供の数が2人以上であることが必要であり、国は子育て支援のための施策を実施しなければならない。
しかし、広く海外を見渡すと世界人口は現在70億人で、アジア・アフリカを中心として人口膨張が続いている。さらに、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)を代表とする新興国が経済発展し、いずれ先進国並みの生活をすることになれば、水・食料・天然資源が枯渇して地球環境は間違いなく悪化するだろう。
21世紀は環境問題を解決し、資源循環型社会をつくらなければ人類にとって大変な悲劇を招くこととなる。他方、日本は少子高齢化で内需が減少し、企業業績は伸び悩んでいる。こんな経済環境下で、今、着実に伸びている産業の一つが静脈産業である。
◆資源循環型の事業
地球環境問題を解決するためには、資源節約型・省エネルギー型の製品開発が重要であるが、製品をリユース・リサイクルする循環型経済をつくることが重要である。この循環型経済を担うのが静脈産業であり、既に多くの企業がさまざまな分野で活躍している。
最近の報道をみても、セブン&アイ・ホールディングスと住友商事系でリサイクル事業を手がけるトムラ・ジャパン(東京都大田区)がペットボトルを回収・再生するリサイクル網を構築する記事が掲載されていた。
その記事によると、セブン&アイ傘下のスーパーの店頭にペットボトルの体積を大幅に圧縮できる回収機を設置し、再生樹脂は大手飲料メーカーが活用し、全て国内で循環できるようにする構想だ。ちなみに、これまでに回収されたペットボトルのほとんどが中国など海外へ流出していたようで、大変もったいない状況にあった。回収コストは従来の半分となるといい、ペットボトル再利用のモデルケースとなることを期待したい。
当社の顧問先でもあるネットオフ(愛知県大府市)も資源循環型事業を展開している。この会社は、中古本の買い取り販売をインターネットで行っている日本最大級のオンライン中古書店である。
◆都市鉱山の開発
名古屋市近郊に広大な商品センターを構え、月間の買い取り・販売点数は100万点を超えており、膨大な本のリサイクルを実現している。同社の黒田武志社長は「わが社の強みはオンラインで安価な中古本を大量に回収する仕組みを構築し、運用するノウハウを持っていることである」と語る。この強みを使って今、新たなビジネスにチャレンジしている。
それは、家庭に眠っている使用済み携帯電話・パソコンといった小型家電を回収システムに乗せて取り扱うビジネスだ。
日本は天然資源に恵まれていない。金や銀のほかレアメタル(希少金属)は輸入に依存している。しかし、都市鉱山といわれているように、使用済み携帯電話・パソコンには金銀と希少金属が埋蔵されている。
独立行政法人の物質・材料研究機構の調査によると、日本には世界中の現有埋蔵量のうち、金の16%、銀の22%が都市鉱山として眠っているという。
このビジネスは循環型経済の実現に大きく貢献する。ぜひ、成功させてもらいたいと願う。
【会社概要】アタックスグループ
顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。
「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。
「フジサンケイビジネスアイ」