アタックスグループ(税理士法人、経営コンサルティング)

【知恵の経営】新卒社員に6カ月間の基礎力研修
法政大学大学院政策創造研究科教授 アタックスグループ顧問・坂本光司

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法政大学大学院政策創造研究科教授 アタックスグループ顧問・坂本光司氏

 広島市南区にインタフェースという中小企業がある。電子機器メーカーで、工場向けの計測制御システムやFAコントローラーなどを主力製品とする。設立は1978年。現社長の國司健(くにし・たけし)さんが脱サラし、理想の会社を求めてスタートした。

 ◆夢のある会社

 國司社長の掲げた理想の会社とは「夢と自由のある会社」「人間尊重の会社」「技術を売り物にする会社」である。その理由は、自分が一社員として勤めていた会社が、必ずしもこうした経営を実践していなかったからである。

 こうした目標を高らかに掲げるとともに「人を大切にする」という経営理念を打ち出して創業した。以来、この理念はずっとぶれることなく、社員重視の経営を実践してきた。その結果、今や社員数は非正規を含めて約250人、200品目を超える自社商品を保有する独立企業として市場の高い評価を得ている。

 同社がとりわけ重視してきたことは、人財の確保と育成である。まず、確保に当たっては、設立当初こそ中途採用であったが、経営が軌道に乗ってからは新卒で採用している。しかも、すべての採用枠が技術系だ。

 新卒採用にこだわってきたのは、他社での勤務経験のない真っ白な若者を一から育て上げたかったことと、先輩が後輩を教え、後輩は先輩の背中を見ながら成長する「大家族的経営」こそが、人財教育の理想と考えたからである。

 さらに言えば、技術を売り物にする会社ならば、人事や経理など、間接部門の社員も技術に対する一定の知識と理解があった方が、セクショナリズム(部署別派閥主義)に陥らないと考えたからである。

 ◆人間力を養成

 同社は、新卒社員の育成にもことのほか尽力している。その一つが、新卒社員教育である。毎年、4月1日の入社式が終わると、全員(例年5人程度)が工場のある大分事業所(大分県国東市)で研修を受ける。工場は大分空港の近くにあり、工場敷地の3分の2は野菜や果物畑という自然環境が残された場所だ。

 工場のすぐ近くにある社員寮で新卒新入社員の全員が寝食を共にする。そこから毎朝、工場に通って先輩社員や外部講師から朝から晩まで研修を受ける。

 興味深いのは、研修期間の6カ月間、現業には就かない。しかも研修内容は、技術や管理といったマネジメントノウハウに関するものがほとんどなく、大半の時間を5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)やコミュニケーション力、チーム力など、いわゆる人間力と社会人基礎力を高める研修に費やす。

 6カ月の研修が終わると、本人の希望も重視し、広島の本社や工場などに配属されるのだが、その頃には人間力豊かな即戦力人財に変貌しているという。成長ぶりに最も驚くのは、会社関係者というより、両親をはじめとした家族という。

 こうした現実を見ると、企業に最も付加価値をもたらす方策は「人財確保と人財教育」に尽力することといえる。

【会社概要】アタックスグループ
顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。
「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

「フジサンケイビジネスアイ」

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