パーク24のカーシェアリング専用車の乗車方法を説明する社員。
カードリーダーに会員カードをかざすだけで乗車できる=東京都千代田区
複数のドライバー間で特定の自動車を共同利用するカーシェアリング。そのサービスを時間貸し駐車場で展開するパーク24(東京都千代田区)が、小型乗用車中心のカーシェア対象車種を拡大する。荷室の大きい箱形のワンボックスカーや軽トラックなどの採用を検討し、旅行や家具の買い物などに適した移動手段の選択肢を広げる。
同社は、時間貸し駐車場「タイムズ」を全国1万カ所超で運営。2009年5月から、タイムズを拠点とするカーシェアサービス「タイムズプラス」を個人や企業を対象に提供してきた。
その拠点数は約2600カ所で、約9万人の会員を抱えている。利便性を高めるため、サービス対象車種を拡充する。
現在は18車種で、ハッチバック(跳ね上げ式後方ドア)型コンパクトカーやハイブリッド車などを取りそろえている。追加車種は今後詰めるが、多人数乗りのミニバンやマイクロバスなども視野に入れる。
今後は車種拡充を弾みに、カーシェアの使い勝手の良さを広く認知させたい考えだ。売りの一つがインターネットなどで会員登録し簡単に使えること。パソコンや携帯電話で予約する際は、会員カードの番号とパスワードで、予約画面にアクセスする。次に「どのサービス拠点の車両を何時から使うのか」といった情報を入力する。その後、予約時間にカーシェア拠点で自身のカードを車両の読み取り機「カードリーダー」にかざす。すると、会員データの認証が行われ、ロックが解除されて乗車できる。使用後は、車両を出発拠点に返却する仕組みだ。
カーシェアは15分200円から利用できる気軽さが売り。このため会員は、“マイカー感覚”で思い立ったら24時間いつでもすぐ乗れる。
一般的なレンタカーは、利用時間が6時間以上と長いため、近場の買い物など短時間ですむ用事の場合、カーシェアより割高となる。さらに、営業所に出向き貸し出しの手続きが必要となる。カーシェアは、そのように面倒な手間をかけずに乗車できるのも大きな利点だ。
サービス強化の背景には、若者の自動車離れを阻止したいという西川光一社長の思いがある。西川社長は「現在の大学生は生まれてから一度も好景気を実感することなく生活してきたため、経済負担を敬遠する傾向にある。若者が気軽に自動車に接する機会をつくりたい」と語る。カーシェアを入り口に運転の楽しさを知った若者が、将来の自動車購入者となることも願う。事業目標は、14年10月までにカーシェア専用車の台数を現在の約3700台から1万台に引き上げ、カーシェア拠点数も7700カ所に増やすことだ。(臼井慎太郎)
「フジサンケイビジネスアイ」