物流サービスのアップ・フィールド(東京都新宿区)は、数百通という少量の販売促進物でも顧客に代わって届ける「ダイレクトメール(DM)支援サービス」の強化に乗り出した。生命保険営業者「ライフプランナー」を主なターゲットに提案して、2014年までに月1000万通の発送量をめざす。
DM支援サービスの特徴は、販促物を封筒に入れる作業から発送まで一貫して手がける点だ。生命保険会社のライフプランナーは、同サービスを利用することで、消費者の生涯に応じた保険プランを設計する本業に集中しやすくなる。
一般的なライフプランナーは、自身の顧客を囲い込むため、こまめに販促物を発送している。例えば、プランナーがカレンダーを自身の顧客に送付する際に、同サービスが威力を発揮する。その流れはこうだ。
メッセージを入れた300本のカレンダーを送付する場合、顧客はまずアップ・フィールドに、発送内容の指示情報や届け先リストなどを電子メールで送信する。次に、必要なカレンダーなどの発送資材を用意し、同社の発送作業場に届ける。
発送資材を受け取った同社は、封入・発送作業場でカレンダーとメッセージを封筒に入れて閉じ、ヤマト運輸などによる軽量貨物配達サービス「メール便」で出荷する。
同社は、こうした作業を一通につき84円(全国一律)で受注する。すでに、民間宅配会社のメール便にほぼ同じ価格帯のサービスがあるが、アップ・フィールドのサービス料には、封入などの作業費も含まれていることから割安感が大きい。受注数量の目安は100通からだ。
同社は費用対効果の高さを武器に、生命保険業界以外の市場開拓にも注力。販促物を頻繁に送る税理士などの事務所や通販事業者にも売り込む。
電通の「日本の広告費」によると、2010年の総広告費に占めるDMの比率は7.0%で、金額では4075億円。マスコミ広告費が縮小を続ける中、底堅く展開している。
この傾向は、マスコミやインターネットによる販促活動だけでは顧客を引き付けられないことを意味する。仲手川啓代表取締役は「DMは手紙や商品カタログなどの『リアルな物』が顧客の手に直接届くため、消費者の購買意欲を高めやすい」と力説する。今後、提案営業を積極的に展開し、少量DM代行サービスの受注件数を、現在の月約100万通から10倍に引き上げる考えだ。(臼井慎太郎)
「フジサンケイビジネスアイ」