ICタグを貼った物品管理システムの一例。アヴァンザではニーズに合わせたシステム構成により低コストで導入が可能だ
■アヴァンザ 低予算で導入、設備追加も自由
セキュリティー事業を展開するアヴァンザ(東京都渋谷区)は、重要データの入ったDVDなどの資料管理のために、タグを貼り、不正持ちだしを防ぐデータ管理システム「タグマッチ」の販売を本格化する。同社はシステム構築が主で、制御プログラムの設計などを行う一方、各種タグや読み取り機などは、協力企業の優れた製品を顧客ニーズに併せて組み合わせて提供する。初期投資を抑えた基本システム導入後に、より厳しいセキュリティー設備を追加しやすいシステム設計にしているため、予算が限られる中小企業などもターゲットにしていく計画だ。
同システムの最小構成は、1つずつタグのデータを読み取るハンディー型読み取り機と、書類などに貼るためのタグ1000枚などで、100万円を切る価格で提供できるとしている。同社では、この基本システムをベースに、企業の要望に応じ、データの持ち出しを検知するゲートや監視カメラ、パトライトの設置などをオプション対応していく。
今年3月には、都市銀行の支店のデータ保存用磁気媒体の持ち出し、返却管理と不正持ち出し検知システムをトータルで受注した。ここでは、3フロアにわたるデータの保管庫で、電子マネー「Edy」などで採用しているICタグ規格「フェリカ」が埋め込まれ、個人情報などが入力された社員証と、使用データが入ったDVDなどにも別途タグを付け、両方を読み取り機で読み込ませることで、履歴が残る仕組みにした。さらに、不正持ちだしを防ぐためのゲートも用意。このゲートを不正に通った社員を検知すると、監視カメラやパトライトが自動で作動する仕組みを一括して整えた。
通常は、管理する書類や記録メディアなどに、日立製作所の超小型のICタグ規格「ミューチップ」を貼り、持ち出し、返却管理を行うが、ミューチップ以外にも、フェリカや、世界的に高いシェアをほこるICタグ規格「MIFARE(マイフェア)」など、さまざまなICタグ規格にも対応する。
同社への問い合わせは、「金融機関や設計図を保管する建設業や製造業にとどまらず、水産会社で利用する魚介類などを載せるパレットの管理や、肉牛の管理などまで幅広い」(吉川雅之代表取締役)という。
ここ数年、社員の機密情報の持ち出しへの懸念などに加え、金融機関などでも情報管理の対応に迫られるなど、各種データの管理を厳格に行う必要性が高まっている。同社では、こうした動きを追い風に事業拡大を狙う。(那須慎一)
「フジサンケイビジネスアイ」