「国内市場が縮小する中、売り上げ拡大に向けた本質的な対策が講じられていない」と指摘する中小機構の高田理事長
中小企業基盤整備機構はこのほど、中小企業を対象とした緊急アンケートを実施、結果をまとめた。それによると1年前に比べて売り上げが「横ばい」「下がった」という企業は全体の7割に達した。2012年12月に始まったアベノミクス景気の拡大は続いているが、足元では賃金が十分に伸びず、消費意欲が低迷するなど景気回復の実感は乏しいのが実態。こうした傾向を裏付ける結果となった。
アンケートは1004社が回答。1年前に比べ売り上げが「ほぼ横ばい」が35.2%、「下がった」が34.4%だった。「ほぼ横ばい」「下がった」の中で最も多かった理由は「顧客数・取引先の減少」で、「販売・受注単価の減少」が続いた。また「人手不足で需要に対応できない」が10.6%を占めた。
売り上げ拡大に向けた対策としては「顧客ニーズへの対応」「営業・PRの強化」「新規取引先の発掘」という上位3つの回答で、全体の6割を占めた。その半面、ITや人工知能(AI)の導入による生産性向上や電子商取引(eコマース)に取り組んでいる企業は、3.5%に過ぎなかった。
アンケート結果について高田坦史理事長は、人手不足倒産が深刻化する中で「売り上げ拡大に向けた本質的な対策になっていない」と指摘した上で、AIやeコマースなどの導入に向けた支援策の強化が必要との認識を示している。
「フジサンケイビジネスアイ」