エンジニア派遣大手のメイテックは「地域限定社員制度」を新設することを29日、明らかにした。派遣先となる自動車や半導体といった製造業が集積しているうえ、地元での就職希望者が多い「九州地域限定」のエンジニア派遣を始める。全国転勤が前提の派遣事業を手掛けてきたが、エンジニアの需給が逼迫(ひっぱく)する中、働き方の選択肢を広げることで優秀な人材を確保する狙いがある。
地域限定社員制度は傘下のメイテックフィルダーズ(東京都港区)で9月から始める。設計や解析、試験などモノづくりを専門とするエンジニアを九州地域限定の正社員として採用。九州にあるメーカーに限って派遣する。この条件で地域限定社員という新たな募集をかける。
メイテックは研究や設計開発の技術者派遣最大手で、専門職のエンジニア約8700人を正社員として採用。自動車や電機、半導体などメーカー約1000事業者に派遣している。派遣先顧客企業が全国にまたがるため、1カ所3年をめどに34拠点内を転勤することが通例となっている。
転勤が多い背景には、自社のエンジニアも抱える派遣先企業にとって「複数社を経験し、多彩な技術を身に付けていることが派遣エンジニアの付加価値になる」(メイテック担当者)との業界事情がある。製造業の集積地である九州なら、地域限定とはいえ「複数の派遣先を経験しキャリアアップできる」と判断したという。
開発技術職のエンジニアは、需要が供給を上回る状態が続いている。6月の有効求人倍率は全体の1.37倍に対し、開発技術者は1.73倍。新規求人倍率は2.90倍となっている。
「フジサンケイビジネスアイ」