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【35歳からの転職ウラ事情】(7)成功の鍵は選択肢の幅

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□ルーセントドアーズ社長・黒田真行氏

35歳を超えてからの転職が難しくなる理由は、大きく2つ。1つ目は募集する側の需要の問題です。ほとんどの組織がピラミッド型で、上に近づくほど年齢が上がる構造になっているため、35歳を過ぎると課長や部長、エグゼクティブなど募集ポストが少ない求人を奪い合うことになるためです。

もう1つは求職者側の視界の問題。通常、仕事を続け、年齢が上がるほど、経験やスキルという「財産」が積みあがってきます。すると「せっかくのキャリアを生かさないともったいない」、という心理制約が発生し、選択肢の幅を狭めてしまいやすくなります。子供の学費や住宅ローンなど、年収水準がどうしても譲れない条件になることも多いのが実情です。

 結果的に転職先に求める条件は

●業界・職種=自分がこれまで生きてきた業界・職種

●地域=住宅ローンもあり現住所から通えるエリ

●役職=現状維持か、できればプラスアルファ

●年収=現状維持か、できればプラスアルファ

ということに要約されてきます。実際には、これらに加えて「人間関係」「経営の健全性」「将来への安定性」など、個別にいくつかの条件も付加されるのが一般的です。仕事を探す側から言えば、必然的で正当な転職先の条件です。

この条件を満たす会社を探すと、自分が勤めてきた会社より規模・安定性・成長性などが優れた同業ライバル企業で、これまでの自分のポスト・年収を維持でき、かつ転居する必要がない求人、ということになります。その条件に合う求人があれば即決する可能性がありますが、極めてまれです。相手方の企業のピラミッド内部にも、新卒から20年がんばってもポストを得られなかった人も多数いるため、ライバル企業から採用できるのは、結果的に業界を揺るがすような実績がある人に限定されてしまいます。

最初の希望条件でなかなか転職先が決まらない場合、複合的な希望条件を一つ一つ分解し、条件ごとの優先順位と重みを数値化できるくらいに整理することが不可欠です。優先順位が低い条件から変更できる範囲を設定し、必ず期限を決めて徐々に条件を変えていくこと。現に、東京・大阪・名古屋など都心地域以外の中堅中小企業。後継者不足や次世代幹部候補が不足して、極端な場合はせっかくの順調な事業を廃業するしかない、というケースもあるくらいなので、地域や企業規模、業種、職種によって、35歳以上が必要とされている求人は多数あります。こだわりすぎず、あきらめずに、自分が必要とされる場所を見つけるために、ぜひ試していただきたいと思います。

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