人事制度 新時代

第4回

10年後の市場見据えた「バリュー評価」を

 

「バリュー評価」では、自社の新しい価値について対話する場を設ける

前回は「モノよりコトの大切さ」、そして、コトづくりのためには一社一社が組織に価値観を浸透させ「人に地域に環境にやさしい社会によろこばれる企業」として社内外に理念やクレドとして示していくことが大切であるということをお伝えしました。

今、勝ち組の企業は不況をチャンスに変える取り組みをしています。皆さんのお客さまもまた、この不況を何とかしたいと考えているはずです。「なじみ客が減っていく」「ヒット商品が出ない」「安定した取引先がつぶれる」など、不安を抱えているのです。もしあなたが、時代の先を読み、多くのお客さまにこれらを解決する「新しい価値」を提供することができたら、ピンチをチャンスに変えられるといえます。これらのことを統計資料から考えてみましょう。

「人事考課制度に関する実態調査」(労務行政研究所)によると、「人事諸施策として実施を検討している施策」に関して、多くの社長さんや人事部長さんが一番挙げているのが「バリュー評価」の項目です。

成果評価や目標管理といった、かつての成果主義を反映した施策は既に過去のものとなり、前回紹介した“企業のコトづくり”のためのブランド向上の取り組みを背景とした「価値観の浸透」のための施策が真っ先に挙げられていることが、統計からも分かります。

別の資料でも、大企業を中心に既に40%を超える企業が、バリュー評価の導入という取り組みを実施しています。

例えば小林製薬では「社員の取るべき行動」の基準を「小林バリュー評価」という項目をつくって施策に取り入れていますし、日本テレコムでは、ビジョンを具現化するために共通して求められる基本的な能力項目を「コア能力」として14項目作成し、社内への価値観の浸透をはかっているのです。

10年後の市場に提供すべき新しい価値づくりのために、社員をいかに育てていくのかが、これからの人事の大きな課題となるのです。

第4回コラム執筆者

【プロフィール】

矢萩大輔

 やはぎ・だいすけ 人事・労務代表取締役、日本ES開発協会会長。明治学院大卒。大手ゼネコン勤務を経て1995年、26歳で社会保険労務士として開業。その後、人事・労務を立ち上げ、「人を大切にする経営」を目指す経営者のための日本ES開発協会を主宰。貨幣を超えた新しい時代を生き抜く企業のイノベーションを支えるES(従業員満足)人事制度の導入に力を入れる。

 
 

プロフィール

有限会社人事・労務

現在社長を務める矢萩大輔が、1995年に26歳の時に東京都内最年少で開設した社労士事務所が母体となり、1998年に人事・労務コンサルタント集団として設立。これまでに390社を超える人事制度・賃金制度、ESコンサルティング、就業規則作成などのコンサルティング実績がある。2004年から社員のES(従業員満足)向上を中心とした取り組みやES向上型人事制度の構築などを支援しており、多くの企業から共感を得ている。最近は「社会によろこばれる会社の組織づくり」を積極的に支援するために、これまでのES(従業員満足)に環境軸、社会軸などのSS(社会的満足)の視点も加え、幅広く企業の活性化のためのコンサルティングを行い、ソーシャル・コンサルティングファームとして企業の社会貢献とビジネスの融合の実現を目指している。

http://www.jinji-roumu.com/inbp.html
http://www.jinji-roumu.com/jinji/
http://www.jinji-roumu.com/es/esr-jinji.html


Webサイト:有限会社 人事・労務

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