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代表 宮川 則子氏
「心の潤滑油となる音楽がもたらす効果」を伝えたい想いで走り続けています

取材日:2012年11月29日


エミューズ音楽事務所 代表 宮川 則子氏

エミューズ音楽事務所の事業について教えて下さい
 2008年事業体としてエミューズ音楽事務所を設立しました。私自身は、主に「公」と「私」2つの柱を軸に仕事をしておりまして、1つは、「公」の部分。エミューズ音楽事務所は、これからの未来を担う「自分力」がしっかり備わっている若い音楽家の育成とそれを世に発信していくという意味でのコンサートプロデュースおよび音楽演奏派遣、CD制作などを行っております。これは事務所の事業としてホームページ(http://www.chopin0512.com/)などでも表に出しています。もう1つは、「私」の部分で20年以上続けてきた「音楽指導」です。下は5歳から上は91歳までの一般の生徒さんへのコーラスやピアノを教えています。音楽は、『一生の心の財産』と考えていますので「生涯学習」というスタンスでレッスン提供しています。
「自分力」が備わっている音楽家というのは?
 私が定義する「自分力」を持っている人というのは、自分で音楽を発信できる人、自分で音楽をつくれる人、そして精進するアーティストのことです。プレーヤーは、ジャンルを問わなければ星の数ほど存在しますが、中には、この「自分力」を勘違いして自分の演奏のスキルだけを示して「どうだ!すごいだろう」と一方通行的な発信で満足している演奏家もいます。しかしそうではなくて、生の演奏には、「温度・空気・色」が存在します。観客とそれが共有できる力を出せるというのも「自分力」だと思っています。演奏の中に自分の利点や特徴を出していくということもそうです。例えば、自分は面白いギャグが言えるという人は、演奏と演奏の間のMC時に喋ってみるとか、その逆で堅実タイプの人であれば、演奏だけに集中して、観客の心に浸透する演奏で絶対に退屈させない演奏を信条としてやる。というスタイルでもいいと思います。要は、観客との間に温度差なく一体感を作れる人が「自分力」を持っている人だと思っています。「自分力」にこだわるのは、私自身が「消費者目線」だからかもしれません。 一方通行にならないようにレッスンを行う際も、生徒の個性や意見を尊重して「いかに一生のものとして音楽と長く付き合ってもらえるか」を考えながらディスカッションをしたり、話を聴くことを大切にしています。面白い話をすると、「先生の事務所は若い男性アーティストが多いですね。」と言われたりするのですが、それも、生徒や観客の意見に耳を傾けていたら、自然とそうなりました。生徒や観客は、女性が多いので、マーケティングするつもりがなくても結果的にそうなったという、面白い例です。しかしながら、男性アーティストが多いのは、それだけの理由ではなく、やはり若い男性アーティストも、いずれは、家庭をもって背負うものも大きくなる訳ですから、仕事として1本立ち出来るように支援していきたい。という想いが背景にあります。
個人教室から現在のような形にするまでには、いろいろ御苦労もあったのでは?
今までやってきて、大変なことは、もちろんありましたが、その間、客観的に見て3つのターニングポイントに遭遇しています。それぞれ【起業】【音楽観の変化】【事業拡大】のタイミングです。その時々で、ヒト、モノ、コトの出会いがありました。

【起業】 2005年~ キッカケはヨン様好きの身内から始まったコーラスグループ
当初は、みやかわ音楽教室としてピアノのレッスンのみを続けていましたが、娘が産まれた際に乳児を見ながらの自宅でのレッスンは非効率だし、家族にも迷惑をかけてしまうと考えるようになりました。しかし、音楽は辞めたくないという想いから、「コーラス」はどうだろうと思いました。それには、学生の時に合唱指揮者をやっていたという経験と、自分自身が音楽によって心身共に満たされた経験から、それを大勢の人と分かち合いたいという理由もありました。まず、最初に困ったのは「コーラス」を結成したいと思っても、そう簡単に集まる訳もありません。集まったとしても長く継続することは困難なことだと考えていた折、時は2004年。世は韓流ブームで母と姉も例にもれずヨン様(韓国俳優 ペ・ヨンジュン)の大ファンでした。そこで「冬のソナタ」の曲をコーラスでやろう。と母が言い出し、最初は、乗れませんでしたが結局根負けし、身内3人他人3人の計6人でコーラスグループを結成しました。新大久保の小さなスタジオを借りて練習がスタートしました。常連として通っていた韓国料理店にメンバー募集のチラシを置いてもらったことを契機にメン バーも次第に増えていき2005年6人でスタートしたコーラスは、25人のグループになりました。しかしながら、皆、もともと「コーラス」をやりたいわけではなく「ヨン様」つながりで集まったメンバーなので、どうやって「コーラス」に興味を持ってもらうかが大きな課題でしたが、あの手この手で何とか演奏会が開けるまでになりました。このコーラスグループが個人音楽教室から本格的な音楽事業への変換のスタートになったと思います。

【音楽観の変化】 メンバーの変化を目の当たりにして
 「冬のソナタ」の主題歌をはじめとした「歌いたい」と思う曲は、男性ボーカルの曲が多く、これを女性コーラス用に編曲することで全く新しい音楽に生まれ変わることに私自身も魅力を感じるようになりました。同時に、コーラスメンバーたちがレッスンを積み、舞台に立つようになってから、お化粧、着る服、姿勢や表情が変わっていくのを目の当たりにし、だんだん彼女たちに一層の美意識が芽生え、キラキラと輝いてくることに気付きました。まさに「音楽がもたらす効果」を実感しました。変貌していくメンバーたちを見ているうちに自分と伴奏者だけでやっているのは、もったいないと感じるようになり、音大出身の男性声楽家に声をかけ、クリスマス演奏会のゲストとして入ってもらい、コラボレーションしたところ、女性の中の黒一点しかも音楽に精通した男性の声が入ったということで大変な反響となりました。するとメンバーたちに今度は新たに「音楽に対する感性や欲」が芽生え始め、個人教室では味わえなかった「音楽が不特定多数の人の意識をも変えていく」という体験によって、それまでの自分の音楽観が変わりました。

【事業拡大】 若い才能の育成、支援の想いから
 先述の若手男性声楽家が、また転機となりました。それは、彼の口から音楽家として生きていくことの厳しい現状を聴き、同情以上の歯がゆさを感じ、彼のような若く才能のある音楽家たちの演奏会をプロデュースしたいと思うようになりました。第1回目の演奏会チラシは、手づくりで費用的に見ても採算のとれるものではありませんでしたが、演奏会の反応は毎回とても良く、「続けていかなくては」と考えました。但し、音楽教室としてこの演奏会をやっていくには限界を感じたので、「エミューズ音楽事務所」として事業化しました。
記念すべき初めての演奏会のチラシ      今年のコンサートのチラシ
出演者の服装も普段着でした。        出演者の服装もチラシのデザインもお洒落に進化
今後の夢などがあれば、教えて下さい
コーラスメンバーは、7年目の今年80人を超えました。10周年コンサート開催へ向けてますます頑張っています。このコーラスの他にも、2つのコーラス団体が「楽しみながら音楽を奏でたい。」という理由で集まってきてくれています。先ほどお話したように「音楽は人の心を変える」と思っていますので、メンタルサポート的視点から、エミューズ音楽事務所の事業の一部として、新たなコーラスワークの構築も積極的に行っていこうと考えています。そして引き続き「自分力」のあるアーティストと一緒に仕事をしていき、「エミューズのコンサートにまた行きたい!」と思ってもらえるような、コンサート作りに努めていきたいです。そしてゆくゆくは、エミューズ音楽事務所の「音楽の館」を持てたらいいな。というのが夢です。
インタビュー:河合 美智子

略歴

エミューズ音楽事務所
代表 宮川 則子氏

音楽大学にてピアノを専攻し卒業後、商船会社に就職し総務部の仕事に従事。
個人の音楽教室を経て、2008年「エミューズ音楽事務所」を設立。
「E-muse(エミューズ)」はオリジナルの造語で 「E-muse」「E」は、メンタル面から社員をサポートするプログラムEAP (Employee Assistance Program)の「E」からとっている。当初、企業人のメンタル面を音楽で支えたいという想いがあったため。「muse」は音楽の女神。

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