2012年12月7日(金)、川崎市産業振興財団主催による「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)の第80回最終選考会が川崎市産業振興会館(川崎市幸区)にて開催された。同オーディションは年6回開催されており、川崎市内に限らず、全国から広く参加者を募集している。優秀なビジネスアイデアに対しては、販路拡大および資金調達の支援、ベンチャーキャピタリストやビジネスパートナーとの出会いの場の提供などのサポートが行われる。今回は一次書類審査および二次面接審査を通過した6社がビジネスアイデアを競った。
きわめて高い成長性・収益性が見込める優秀なプランに贈られるかわさき起業家大賞(川崎市長賞)に輝いたのはエスケー・テック株式会社の河村 英男氏。発電機、風力発電機、制御装置等の製造、販売を手掛ける同社は、これまで複雑で高価であった永久磁石式発電機の制御装置(回転変動に伴う電圧変動を一定電圧に制御する装置)を簡略化し、安価にすることに成功した。また、自動車、風力、水力発電機等への実用化を検討した際に発生した、「低速で出力が出ない」、「発電機が大き過ぎ搭載出来ない」などの問題を、簡単なスイッチにより巻き線の長さを切り替え低速での出力を増加させ、巻き線の巻き方を工夫することにより解消し、従来の発電機と比較し、コストは1/2以下、アイドリング出力は4倍、大きさは1/2以下という驚異的なパフォーマンスを可能にした。同社は現在、この高効率、高出力、小型発電機を自動車に搭載し、高性能冷凍車製作の事業化を進めている。
従来、日本の市場ではエンジンに取り付けた機械式コンプレッサーにより、冷媒をコンデンサーに送り、冷気を作成していたが、エンジンのアイドリング状態では出力が小さく、ドライアイス等の補助により、性能を確保していた。同社提案の永久磁石式発電機では機械式発電機の4倍の出力が得られるので、冷凍性能が格段に向上できる。
また、かわさき起業家優秀賞には株式会社モシカの福井 良政氏が選ばれた。同社は2009年1月から、羽田空港にある女性トイレ65箇所、355の個室内に美観を備えた小型映像モニターを着座位置正面のコーナー部に設置し、専用回線で広告や空港情報をデジタル配信するサービスを行っている。トイレを利用する女性を対象とした広告の放映で、広告放映料から収益を得ながら、場所を提供する羽田空港に対しては広告放映料の一部を支払うことで、空港サイドは経費のかかるデッドスペースであったトイレから収益を上げることができる。また緊急情報や空港施設の案内等も配信できる為、利用者の利便性にも貢献できる。トイレ内プロモーションはアメリカやヨーロッパでは広告の手法としてすでに確立しているが、トイレ個室内での映像広告媒体は同社の「羽田空港レストルームチャンネル」が国内初となる。
【受賞企業】
かわさき起業家大賞
エスケー・テック株式会社 河村英男氏
かわさき起業家優秀賞
株式会社モシカ 福井良政氏
かわさき起業家賞
株式会社田中紙工 田中眞文氏
株式会社ピコ・ラボ 小林一広氏
かわさきビジネス・アイデアシーズ賞
インタービジネスブリッジ合同会社 深澤建臣氏
枯山水サラウンディング 内田 学氏
フジサンケイビジネスアイ