10月10~12日に開かれた中小企業総合展。ブースを設置し地域ブランドの商品群を展示した=東京ビッグサイト
■隠れた名品 バイヤーに情報提供
中小企業基盤整備機構(中小機構)は、地域資源を活用した商品を生産する国内の中小企業と、百貨店や小売業などのバイヤーが出会う場を提供するプロジェクト「Rin crossing」を29日から本格的にスタートする。
プロジェクトの目的は「地域性やデザイン性の高い商品の販路を開拓すること」(新事業支援部販路開拓支援課の坂口裕得子課長代理)。メーカーとバイヤーの間に入って、職人の技術や地域の素材と市場ニーズをマッチング。生活者によりよい商品を提供することによって、新しいライフスタイルの創出を目指す。
地方に拠点を置く中小企業は、品質の高い製品を作ったとしても、販売ルートなどの面で悩みを抱えるケースが少なくない。また、後継者問題も常につきまとう。今回の事業が軌道に乗れば、こうした問題の改善につながるとみられる。新事業支援部の柿沼文彦審議役は「地域資源の活性化プロジェクト」と位置づけている。
プロジェクトに参加するメーカーは、非食品の中小企業が対象で、初年度は60~70社の参加を見込む。
商品はアパレルや家具、文具などが中心となる。メーカー、商品については「本事業スクリーニング委員会」(仮称)を通じ、性能などを厳密にチェックした上で決定する。一方、バイヤーについても書類選考で、プロジェクトにふさわしいかどうかを確認する。
事業はウェブサイト(http://rincrossing.smrj.go.jp)を通じて展開する。参加するメーカーの、ものづくりに対する思いをつづった「創り手たちのStory」などを掲載。展示会や現地に足を運ばなくても各地の優れた商品を確認できるようにする。
海外に向けても情報を発信する予定で、英語版のサイトも立ち上げる計画だ。
これと並行して、「テーマ・カテゴリー別商談会」を随時開催。今年度は3回を予定している。「ステーショナリー」といった特定のテーマを設定することによって、専門性の高い商談会とする考えだ。
また、バイヤーは単に買い付けを行うだけでなく、買い手の視点を生かした共同開発に発展するケースも顕在化するとみられる。消費動向が不透明な状況が続いているだけに、希少性の高い商材の発掘や開発が加速すれば、売り場の活性化にもつながりそうだ。(伊藤俊祐)
「フジサンケイビジネスアイ」