さまざまなジャンルのビジネスのシーズ(種)を内外から募り、アイデアの実現をサポートする「かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」
(http:// http://www.kawasaki-net.ne.jp/bizidea/)
の第73回最終選考会が、10月7日に川崎市産業振興会館(川崎市幸区)で開催された。
2001年11月にスタートした同オーディションは、川崎市内に限らず全国から広く参加を募集しており、ほぼ2カ月に1回のペースで実施されている。優秀なビジネスアイデアに対しては、販路拡大および資金調達の支援、ベンチャーキャピタリストやビジネスパートナーとの出会いの場の提供などのサポートが行われる。
同オーディションを主催する川崎市産業振興財団によれば、今回はベンチャー・中小企業や個人、学生から18件の応募が寄せられ、一次書類審査および二次面接審査を通過した7社がビジネスアイデアを競った。
グリーンテクノ(川崎市高津区)の田中實社長=写真左=とマインドクリエイトジャパン(東京都新宿区)の草深仁志社長が、成長性・収益性の見込める優秀なプランに贈られる「かわさき起業家優秀賞」に輝いた。
小型高電圧電源と静電気応用装置を手がけるグリーンテクノの田中社長は、自社技術を活かした「しいたけ増産用電気刺激電源装置『らいぞう』」の開発経緯と普及計画を発表。
「雷が多い年にはキノコがよく生える」という昔の言い伝えから、同製品の着想を得た。連携先である九州大学や岩手大学の実験でも、高圧パルスを使って電気刺激を与えると、キノコがよく育つとの報告があるという。
自社の高圧電源を使い、愛媛県の一般農家で行った実証実験でも、通常の1.5倍~2倍の増産効果が報告されている。現在、市販の類似品はなく、来年度には、大手のしいたけ菌床メーカー数社と販売提携を進めていく計画だ。「農家の国際競争力をつけるため、全国に早期普及を果たしたい」と田中社長。
また、マインドクリエイトジャパンの草深社長は、今年1月に本格的に営業を開始した業界初の空気ビニール製マネキン『AIRQUIN』(エアキン、国際商標登録)の事業展開についてプレゼンを行った。
従来品の4倍となる40個以上のパーツを組み合わせ、人間本来のプロポーションやフォルムを再現。重量もFRP等の樹脂製マネキンの約10%と軽く、これまでマネキンを飾ることのできなかった店舗上層部や壁面、コーナー、天井などにも設置でき、高い誘引効果を発揮する。
一方、かわさきビジネス・アイデアシーズ賞を受賞したエネルギー応用技術研究所の菅野社長は、夜間電力や自然エネルギーによって発電された電力を大型蓄電池に貯蔵し、種類の異なる複数の電気自動車(EV)に約5分間でフル充電が可能な「電力貯蔵式急速充電システム」の実用化計画を発表した。
12月20日に予定されている第74回最終選考会は、同オーディションの開催10年目を祝う記念事業と併せて開催される。
【主催者賞受賞者】
▽かわさき起業家優秀賞
マインドクリエイトジャパン 草深仁志氏/グリーンテクノ 田中實氏
▽かわさき起業家賞
ライトウェイ 矢島浩二氏/サント電業 嶋貫昭一氏/アースクリエイション 石橋隆二氏
▽かわさきビジネス・アイデアシーズ賞
トップ 黒岩昭雄氏/エネルギー応用技術研究所 菅野富雄氏
「フジサンケイビジネスアイ」