城南信用金庫の渡辺泰志理事長
全国の信用金庫が力を合わせ中小企業のビジネスマッチングなどを後押しする「2018“よい仕事おこし”フェア」(主催・城南信用金庫)が9月19、20日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催される。協賛する各地の信金から推薦された中小企業などが500近いブースで、主力商品やサービス、技術をアピールする。大商談会なども予定されており、4万人の来場者を見込む。毎年開催しており、今回で7回目。城南信金の渡辺泰志理事長は、日本経済の成長のためにも地域の枠を超えた企業連携の重要性を強調した。
--同フェアに協力する信金が増えている
「『信用金庫による地方創生!』『日本を明るく元気に!!』をテーマに開催してきた。協賛してくれる信金は前回の129から210へと大きく伸びた。地域経済の活性化に向けて何かしたいという機運は業界内でも高まっている。多様な業種で成長力のある中小企業を推薦してもらうことで、展示内容もより充実し、積極的な商談が展開されることを期待している。将来的には261の全信金に参加してもらえるよう工夫していきたい」
--地域連携をテーマとしたプロジェクトも進行中だ
「今回は3プロジェクトを用意している。47都道府県の米を少しずつブレンドして醸造した『興こし酒』、同じくブレンド米で作る『絆のおむすび』、全国の食材を合わせた『心の寄せ鍋』だ。いずれもフェア開催中に会場で販売する予定で、このうち、興こし酒は福島県の酒蔵で仕込み、『絆舞(きずなまい)』と命名して500ミリリットル2200円程度で販売する。米を都道府県数に合わせ47%まで磨き、辛口の純米大吟醸酒に仕上がった。心の寄せ鍋などもプロの料理人が監修した自信の一品だ。販売収益の一部は災害被災地に送りたい」
--フェア開催の目的には被災地支援がある
「もともと東日本大震災からの復興へ、信金は何ができるかを問う目的で企画した。当金庫も東北被災地への寄付を行ってきたが、現地では『復興には寄付金よりも仕事が必要だ』との声が多く聞かれた。被災地の商品やサービスを知ってもらう、売れる仕組みを作る必要性を痛感した。その後、熊本地震など大型災害が発生したことから、全国的な連携をイメージできるプロジェクトを展開することにした。商談と直結した企業交流会を柱としながら、プロジェクトを通じて地域の有機的な連携の必要性を強調したい」
--信金と中小企業の関係はどう変わっていくのか
「顧客企業を元気にし、資金需要を作り出す工夫をしていく必要がある。中小企業は景気回復の恩恵を受けているとはいいがたい。米中の貿易摩擦や資源高、為替動向、人手不足など懸念材料も多い。同業種間で連携し、製品やサービスの付加価値を高めるといった取り組みも不可欠だろう。信金は狭域の金融機関で競合が少ないのだから、積極的に連携し日本を元気にする取り組みに参画してほしい」
【プロフィル】
渡辺泰志 わたなべ・やすし
横浜市立大商卒。1983年城南信用金庫に入庫。2004年理事、08年常務理事。17年6月から理事長。59歳。東京都出身。
【金庫概要】城南信用金庫
▽本店=東京都品川区西五反田7-2-3
▽設立=1945年8月
▽総資産=3兆8553億円(2018年3月末現在)
▽従業員数=2108人
▽店舗数=85店
▽営業地域=東京都全域、神奈川県川崎市、横浜市、相模原市、大和市、厚木市など
「フジサンケイビジネスアイ」