パートナーオブスターズ 星野善宣代表取締役
人手不足が深刻化する中、企業による新卒採用は激戦を極めている。特に知名度の低いベンチャー企業は思うように学生が集まらず、経営者の悩みの種になっている。そんなベンチャーと学生をマッチングさせるユニークな採用ナビサイトを運営しているのがパートナーオブスターズだ。ベンチャーのブランディングを本業にしているが、今夏にも新事業に本格進出し、ベンチャーと学生をつなぐビジネスを深耕する。星野善宣代表取締役に話を聞いた。
--事業内容は
「『ワクワクをカタチにする』をコンセプトに、ベンチャー向けのブランディングと広報PRサービスを展開。同事業が売上高のほぼ8割を占める。ベンチャー向けのブランディングはデザイン会社が手掛けるケースが多いが、当社は組織のマネジメント、コンサルティングなどからスタートしたので、ブランディングを組織に浸透、落とし込むところに強みがある。組織のコンサルとブランディングをともにできるところは国内では珍しいので、ベンチャーから重宝されている」
--実績は
「設立から約12年たつが、きちんと継続的に契約したベンチャーは約40社。広報PRのスポット契約を入れると数はもっと膨らむ。ベンチャーは創業まもないころは経営陣の思いや勢いで社員を引っ張ることができるが、30人を超えるとキャパシティーを超えてくる。当社が相談を受けるのも30人超のベンチャーが多い」
--2012年からベンチャーと学生をマッチングするナビサイト「ビズキャン」を運営している
「ベンチャーの新卒採用をサポートするため立ち上げた。企業、学生に登録してもらうが、登録料も(マッチングに成功した際の)成功報酬もいただかない。その代わりに登録したベンチャーに当社のブランディングサービスをセールスし、こちらで収益を上げている。ビズキャンは、登録したベンチャーがプロフィルを見て興味を持った学生をスカウトする仕組み。早慶、青山学院といったいわゆる上位校の学生の登録が多いのが特徴で、年間500~600人の採用が実現している。新卒採用にお金をかけられないベンチャーから評価されている」
--学生向けウェブメディア「ビズキャンプラス」も展開している
「ビズキャンの登録学生を増やすためスタートした。登録した大学生にベンチャーを取材してもらい、将来を考えるきっかけを提供する狙いがある。このウェブメディアも企業、学生ともに登録料など費用はかからない」
--ビズキャンプラスに新しいサービスを追加した
「ビズキャンプラスの収益化を考えている。その第1弾が『ビズキャンシップ』と呼ばれる大学1、2年生を対象にしたインターンシップ(就業体験)の新サービス。現在試行しているが、今夏から本格化したい。大学1、2年生にしたのは3、4年の段階だと就活時間が短くて、どうしても大企業に流れてしまう傾向があるためだ」
--具体的には
「ベンチャーの持つ課題を案件化し、それに対して学生が提案する。委託した企業に受け入れられれば対価が支払われ、学生はビジネスを実地で経験しながら複数の企業を知ることができる。企業側はインターンシップの専任スタッフを置く必要がなく、成長志向の高い学生と接触できる。また、提案はリポートとしてビズキャンプラスに掲載され、多く学生たちの目に触れる広報効果も期待できる。インターンシップに限らず、今後さまざまな収益化の方法を考えていきたい。近い将来、売上高に占める比率をブランディングとウェブメディアで半々にもっていきたい」
【プロフィル】
星野善宣 ほしの・よしのぶ
北海道大工卒。日立ハイテクノロジーズ入社。コンサルティングファームを経て2007年1月にパートナーオブスターズを設立し現職。38歳。新潟県出身。
【会社概要】
パートナーオブスターズ
▽本社=東京都千代田区有楽町1-12-1新有楽町ビル11階
▽設立=2007年1月
▽資本金=770万円
▽従業員数=14人
▽事業内容=ベンチャー企業に対するブランドマネジメント、広報PR、プロモーション、新規事業創出
「フジサンケイビジネスアイ」