東京商工会議所は、都内の中小企業と大学などを無料で橋渡しする「産学公連携相談窓口」で、地域金融機関との連携を強化する。
すでに都内の16金融機関に加え、7月から新たに城南信用金庫(品川区)と西武信用金庫(中野区)、日本政策金融公庫が参加。産学協同研究で資金調達をしやすくし、中小企業への支援を充実させる。
この事業は、大学などの研究成果を基に中小企業が新たな技術・サービスを開発する後押しをしようと、東商が2013年に始めた。
企業から寄せられた相談内容を首都大学東京や中央大学など首都圏を中心とする33大学に一括して照会し、対応可能な大学を企業に紹介する。
今年4月からは金融機関も参加。融資先企業から相談を受けた際に、この事業を説明してもらい、利用を呼びかける。従業員の少ない企業も個別に大学に出向くことなく必要な研究成果を探すことができる。
産学協同研究で製品やサービスを具現化するには、実証試験や生産ラインの確保などで多額の資金が要るが、資金調達できずに断念するケースも多い。
金融機関が加わって資金調達しやすくなっただけでなく「企業や大学が見落としがちな財務面の課題もチェックしてもらえる」(中小企業部)。
事業開始から4年あまりの累計紹介件数は200件を超えた。事業をきっかけに、貸しおしぼり業のFSX(東京都国立市)が東京理科大学との共同研究で、貸しおしぼりの返却率の可視化に取り組むなど、産学連携の事例が生まれている。
「フジサンケイビジネスアイ」