加藤丈晴・お客様応援課長
顧客の課題把握し解決策を提示
東京・大井町駅前の城南信用金庫大井支店。お客様応援課長として活躍する加藤丈晴さんは同店のキーパーソンだ。同店が営業エリアとする品川区大井は戦前からの地主が多い土地柄。地主の多くは不動産開発を行うため、同支店の融資残高の6割程度を不動産賃貸業への貸し付けが占めている。
加藤さんが所属する「お客様応援課」は、個人・法人の双方に対し融資推進を行う部署。ただ、加藤さんの担当先は大口顧客数件のみで、単独で取引の開拓を行う機会は少ない。課長としてお客様応援課に在籍する9人の渉外担当者の行動管理や訪問活動のサポートを中心に活動している。
担当者の成長のため特に重視しているのは同行訪問だ。訪問時に安直な融資セールスに終始しないよう、訪問先での会話の流れを事前に担当者とシミュレーション。さまざまなニュースや地域の話題、ビジネスマッチング情報などから顧客の関心を探るように意識させる。
顧客の置かれている状況を踏まえずに融資提案をしても、真の課題解決にはならない。「根本的な課題を把握し、解決するには、業界環境や内部環境などについて日常的な会話から掘り下げていくことが欠かせない」というのが加藤さんの考えだ。
顧客が課題発掘の鍵となりそうなひと言をこぼしたら、そこにフォーカスし、ヒアリングを重ねていくことで課題を炙(あぶ)り出し、解決策を提案する。
例えば、高齢の3人兄弟で経営している取引先のケース。同社とは事業承継が課題という認識は共有していたが、三兄弟それぞれの息子が同社に入社したと聞き、誰の息子が継ぐのかが問題になってはないかと推測。実際に3人へ確認すると、やはりそれぞれ自分の息子に承継させたいと考えていた。
加藤さんは、このままでは事業の継続にも支障を来す可能性があると判断。経済産業省との共同のマッチング事業を通じて実務経験豊かなアドバイザーを紹介し、後継者選びや事業承継に向けた課題の整理などをサポートした。
「フジサンケイビジネスアイ」
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