■操作性向上 新規ユーザー獲得
フジサンケイグループのシンクタンク、エフシージー総合研究所は、法令で求められている食品表示作成業務を大幅に軽減するシステム「食品大目付そうけんくん」をリニューアルした。価格は据え置いたまま画面の操作性を向上させることによって「初心者でも簡単に対応できるようにした」(菅沼薫取締役)のが特徴だ。
同システムは2006年4月に開発に着手し、07年9月から販売している。ユーザー数は現在300社だが、リニューアルを機に16年度末に500社、19年度末には1000社まで拡大する計画だ。
同システムでは食品に使われている原材料などをデータベース化。消費者に販売される食品に表示が義務付けられている原材料や添加物、アレルゲンなどについて最新の法令に基づいた表示を短時間で作成する。
また、日常的にメンテナンスを行い、自動的に最新の法令をチェックする機能を導入。年間使用料は12万円と同種のシステムでは業界最安値で提供している。
食品業界では、表示の作成に多くの人手と時間を要しているだけに、とくに「中小企業にとっての大きな力となっている」(小櫃眞佐己社長)という。また、「スーパーなど小売業界向けが急激に伸びている」(相良和彦・企画開発室長)のも特徴の一つ。総菜や弁当をバックヤードで作るケースが増えているためで、全ユーザーの25%を小売りで占めている。
ただ、今年4月に施行された食品表示法は煩雑さが増し、表示ルールの変更に気づかずに違反を犯すケースが散見されている。このためリニューアルに踏みきり、操作性の向上を図ることで新規ユーザーの獲得に力を入れる。
栄養成分計算機能も強化。水分補正や吸油率の計算を反映できるようにして、「より正確な計算を可能にした」(阿由葉光幸・企画開発室主任研究員)。これに簡易原価計算機能を追加したほか、16年春からは同一の原材料を使用した製品の情報を一括変更する機能を追加投入する。
また、日米など12カ国で大筋合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効に伴って、海外関連の引き合いも見込めることから、翻訳業などのパートナーと組んだ上での販売活動も視野に入れていく。
エフシージー総合研究所は企画開発部と暮らしの科学部、情報調査部、管理部によって構成されており、企画開発部が食品大目付そうけんくんの開発を手掛けている。また、暮らしの科学部では料理レシピの開発や化粧品の効果測定、家電製品の性能検査など“暮らしに関わるいろいろ”を専門に行っている。
情報調査部は会員制の広報勉強会「フジサンケイ広報フォーラム」を月に1回のペースで講師を招いて開催。会員相互の情報交換の機会提供しているほか、各種セミナーなどを順次開催している。(伊藤俊祐)
◇【会社概要】エフシージー総合研究所
▽本社=東京都江東区青海1-1-20 ダイバーシティ東京オフィスタワー6階
▽設立=1985年9月
▽資本金=1300万円
▽事業内容=生活・暮らしに関する研究、広報勉強会の開催など
「フジサンケイビジネスアイ」