中小企業基盤整備機構(中小機構)は、中小企業が持つ優れた技術と大手メーカーのニーズをウェブ上でマッチングさせる「J-GoodTech」(ジェグテック)の本格運用を27日から開始する。約43万社ある中小製造業の支援を通し、安定的な雇用機会の提供や地域経済の発展、需要創生につなげる。2015年度末をめどに3000社のサイト登録を目指し、定期的に開催する展示会・商談会とも連携させ新たな取引につなげていく方針。
ジェグテックは今年4月末にプレオープン。優秀な技術を持つ中小企業にサイト登録を促し、大手企業へのパートナーとしてサイト活用を働きかけてきた。この間にシステム検証などサイト運用の改善を図り、より効率性を追求。準備段階が整ったと判断し、全国の中小企業に向け会員登録の受け付けを開始することにした。
すでにサイトに登録した中小企業は1100社に達しており、中小機構では来年度末をめどに3000社まで拡大させたいとしている。また、システム利用を表明している大企業は現在150社で、当面500社まで登録社数を増やす方針。サイトに掲載される中小製造業は、全国9カ所にある中小機構の地域本部が、ニッチな領域でのシェアトップやオンリーワンなど優れた技術や製品を持つと判断した企業を対象にする。各本部には大手メーカーなどでの実務経験がある専門家が配置されており、登録企業に対して個別の受注相談やアドバイスなどを行う。
ジェグテックの仕組みは、中小企業が持つ優れた技術情報をサイトに掲載。引き合いを待つのではなく大手企業のニーズを確認し、提案などを発信できるのが特徴だ。一方、大手は中小の技術情報を検索し必要とする技術を発信する。提案などを受けることで製品開発の効率化を図ることができる。
中小企業の大半は、発注元が限定されているため営業面での弱さがあり、企業としての成長も発注元に依存している。この弱点を補い新規販路の開拓につなげる取り組みの一環として、ジェグテックが位置付けられている。中小機構販路支援部の林隆行参事は「これまで中小企業が大手メーカーへ直接アプローチする手段はなかった。この壁を取り払い、サイト上で直接やりとりを可能にすることで、双方にとってメリットが出せる」という。中小機構では海外企業にもサイトの活用を働きかけ、中小企業の海外展開も積極的に支援する考えだ。
また、展示・商談会も開催しリアルな場でのマッチング活動も展開することで成約率を高めていく。11月19日に開催する「新価値創造展2014」の会場内では出展企業とジェグテックパートナーとなった大手企業との個別商談会を実施する。
「フジサンケイビジネスアイ」