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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第10回

マネジメントをコントロールするとは

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「マネジメント・コントロール・システムについて、基本的なことをお聞きして良いですか?」

「もちろん、結構だ。」

「なぜ、マネジメント・コントロール・システムと言うのですか?マネジメント・システム、もしくはコントロール・システムで良いではないですか?」

「ほう、マネジメント・システム、もしくはコントロール・システムの、どちらの名称でも良いとな?」

「そうですよ。何か?」


「中川課長は、ここで、マネジメント・システムとかコントロール・システムという言葉を、どう使っているのかな?」

「要は部下を操るということですよね。思い通りに動かせて、思い通りの結果を出させるという。」

「マネジメントも、コントロールも、同じ意味なのか?」

「だいたいは一緒ですが、多少の違いはあります。マネジメントの方が、多少は部下に裁量権を与えて自由を許すという感じでしょうか。コントロールは裁量権は与えず、自由は許さないという感じです。」

「そうか、中川課長はマネジメントを、そのように捉えているんだな。」

「違うのですか?」

「確かに、今までの我が社の感覚では、マネジメントとはそういうものだったのかも知れない。以前にも、そんな話をしたような気がする。」

「そういえば、このような話、しましたね。」

「しかし、その時にも言っただろう。俺が目指したいのは、社員にプロフェッショナルとして活躍してもらうためのマネジメントなんだ。」

「確かに部長は、割り当てられた仕事なら誰にも負けない部下を統率できるマネジメントを目指すと言っておられましたね。」

「そうなんだ。そういうマネジメントなんだよ。」

「それと、この話は何か関係があるのですか?」

「あるよ、おおありだ。」


マネジメントをコントロールする


「マネジメント・コントロール・システムとは、中川課長の言うような意味でのマネジメントや、コントロールを行うためのシステムのことを指してる訳ではない。割り当てられた仕事なら誰にも負けない部下をマネジメントすることを目指したものなんだ。」

「では『コントロール』とは何なんですか?」

「マネジメントが上手くいっていなければ調整するという意味だ。マネジメントをコントロールするんだよ。」

「マネジメントをコントロールするですって?それはどのような意味ですか?」


「中川課長が部下をマネジメントする時に上手くいかないことはないか?」

「ありますよ。おおありです。でも、それでもって私がマネジャーとして劣っていると言われても困ります。」

「何も、そういう意味で言ったわけではないよ。」

「それなら良いんですが。」

「被害妄想になっているんだな。」

「もちろん。昔のことを覚えていれば、慎重にならざるを得ないですよ。」

「まあまあ、その話はこれ位にして。」

「はい。」


マネジメントをコントロールする具体例


「部下へのマネジメントが上手くいかなかった場合には、中川課長はどうするのかな?例えば仕事の手順が守られない場合とか。」

「一度指示しても、決められた手順通りやってくれない場合ですね。まずは忍耐強く、もう一度、指示します。」

「それでもダメだったら?」

「もっと、強く言いますね。」

「それでもダメだったら?」

「やり方を変えるでしょうか。例えば、他のメンバーにはきちんと守ってもらい、その人達を褒めることによって、その人も手順を守るように促すとか。」

「他にはないか。」

「チェックリストを作り、相互チェックさせるという方法もありますね。」

「他にはないか。」

「まだですか?でも、ありそうですね。例えば『手順徹底委員』というものを作って、彼にそれを担当させるという方法もありそうです。人間って、命令されると守れないものですが、リーダーになるように頼むと意外としっかりやってくれる場合があるんです。」

「さすが、現場マネジャーとして経験を積んできたな。ところで、そういう取組みのことをマネジメントのコントロールというんだ。」

「は?」


期待する成果を得るためにマネジメントをコントロールする


「中川課長は、最初、仕事で手順を守るよう部下に注意喚起すれば守られるだろうと思ったんだよな。それで『指示』というマネジメントをしたわけだ。」

「はい。」

「それでも上手くいかなかった。だからもう一回指示したけれど、それでもダメだったので、手順を守れば高い評価が得られることを身を持って感じられるように仕向けた。これもマネジメントだ。」

「そうですね。」

「チェックリストを作って相互チェックさせるのもマネジメント、手順徹底委員を設けるのもマネジメントだ。」

「ええ、そうですけど。」

「なぜ、そんなに多種類のマネジメントを行ったんだ?」

「それは『手順の遵守』という結果が欲しかったからです。その結果を得るために、マネジメントの方法を変えた訳です。」

「そう、その『期待する結果を得るために、マネジメントの方法を変える』というのが、マネジメントのコントロールなんだ。」

「ええ!そうなんですか?」

「そうだよ。だからマネジメント・コントロール・システムというんだ。」

「わかりました。」

「そういう訳で、マネジメント・システムとか、コントロール・システムという訳にはいかないんだよ。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

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