クリナップ株式会社

クリナップ執行役員・経営企画部長・湯澤弘己氏
技術、人、ブランドを育て、キッチンから「家族の笑顔を創る」企業を目指す

取材日:2012年3月30日


クリナップ執行役員・経営企画部長・湯澤弘己氏

2月6日に今年3月期の通期業績予想を上方修正されています

 昨年6月に販売を開始したシステムキッチンの新「クリンレディ」を中心に売上拡大に努め、生産原価の低減、コスト削減に努めてきました。福島県いわき市にある当社の生産拠点の復旧が早かったことも幸いしました。

 東日本大震災の経験を経て、当社は人の面で強くなったと思います。困難を乗り切るうえで、企業経営において精神面がいかに大事かということを確信しました。

ブランド戦略をどう考えていますか?

  当社のブランドは、流通では一定の評価を得ていますが、エンドユーザー、とくに30代の若い層に対する認知度の向上が課題です。そこで、2月27日から3月24日まで放映された新「クリンレディ」のテレビCMでは、若手社員の意見を採り入れ、お笑い芸人の「スリムクラブ」を起用しました。同CMがツイッター等で話題になり、ショールームの来客も伸びたことから、CM放映を約2週間延長しました。ブランド戦略の面では成功だったと思います。

御社が大切にしている理念について聞かせて下さい

 当社は1949年、創業者の故・井上登によって、欅材の座卓メーカーとして設立されました。商品が初めて売れたときの感謝の心を、クリナップの精神として全社員が受け継ぎ、座卓からキッチン、サニタリーへとビジネスを拡大してきました。

 井上が掲げた「五心」(創業の心、親愛の心、創意の心、技術の心、使命の心)を、当社の精神性の基盤である「創業者理念」と位置付けています。

 この創業者理念から「家族の笑顔を創ります」という企業理念が生まれ、さらに当社の行動理念が規定されています。その1つに、「私たちは、心豊かな食・住文化を創ります」とありますが、われわれはキッチンメーカーとして、たんに住設機器を提供しているだけではなく、食文化の担い手としての意識を持ち、食に関する教育の支援等を行っています。

 その一環として、聖徳大学オープンアカデミーと連携し、「キッチンから笑顔をつくる料理アカデミー」を3年前に開講しました。今年3月15日からは「Web分校」を開設し、インターネットでもご覧いただけるようになりました。こうした活動を、当社のショールーム戦略にも活かしていきます

今後の展開は?

 今年4月から、当社が設立65周年を迎える2014年3月まで、新たな中期経営計画に取り組みます。「事業」、「理念・思考」、「クリナップ生産方式等の仕組み」、「人事政策」、「プロセス・コミュニケーション」の5つの政策について、一層の強化をはかります。

 攻めの戦略として、われわれが事業の柱に位置付けているのが、①リフォーム市場の獲得、②主戦場であるショールームの全面的強化、③アジア政策の強化の3つ。とくにアジア政策については、現在中国で建設が進んでいる中高層住宅に対応していきます。

 一方、守りの部分としては、震災の教訓を踏まえ、岡山工場等の拡充により、今後3年をめどに、国内製造拠点の分散化に取り組んでいきます。

 当社は震災の影響で、昨年3月11日から4月11日まで、全商品の受注停止を余儀なくされました。その際、当社の最高級システムキッチン「S.S.」をご注文いただいたお客様の約7~8割が、商品の出荷を待ってくださったという感動的な出来事がありました。お客様に評価され、愛される商品を作ることの大切さを改めて感じています。

 当社は2009年に「第二の創業」宣言を行い、「家族の笑顔を創る企業」を目指してきましたが、われわれが今後何を大切にしていくべきかがはっきりしました。それは商品(技術)と人材とブランド(信用)であり、なかでも人材は企業永続性のキーだと考えています。

略歴

クリナップ執行役員・経営企画部長 湯澤弘己(ゆざわ・ひろみ)

経営企画部およびコミュニケーション部、人材活性化委員会を統括。2010年から現職

企業概要

名称 クリナップ株式会社
住所 〒116-8587
東京都 荒川区西日暮里6-22-22
設立 1954年10月5日
資本金 132億6734万円
従業員数 2653人
URL

http://cleanup.jp

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