ブックマークス・山村宙史代表取締役
サロンのようにくつろげる室内と、参加者同士のつながり重視の方針で有料自習室業界に新風を吹き込んだのが、「勉強カフェ」を運営するブックマークス。今月20日に東京・青山に5号店、8月には横浜・関内に6号店のオープンを予定し、勢いに乗る同社の山村宙史(ひろし)代表取締役に今後の展望を聞いた。
--順調に事業が拡大している
「リーマン・ショックが起きた後の2008年11月に1号店を出したが、資金繰りなどで大変な思いをした。だが、その後、『勉強したい』層が確実に増大。結果的には、いいタイミングで創業できた」
--差別化の戦略は
「有料自習室は、以前からあった。しかし、物音ひとつ立ててはいけないような環境で、ましてや隣の人に話しかけることなどできるような雰囲気ではなかった。『勉強カフェ』は、リラックスして勉強できる環境をめざし、利用者同士が会話をしてもいいようにした。さらにコミュニケーションを促すため、スタッフが利用者の間に入って紹介をしたりもする。おせっかいともいえるが、現実に仲間意識が生まれ、励まし合って勉強が進む好循環が生まれている」
--起業の経緯は
「もともと外食産業の出身。ファミリーレストランの店長をやっていた。その後、金融関係を経てブックマークスを立ち上げた。自習室業界はそれまで、ハードとしての施設をどのように収益化するかという不動産業界的発想が主だった。そこへ、外食産業で学んだサービス業の発想を持ち込んだ。当初は、『もっと静かな環境にしろ』と厳しい意見をいただくこともあったが、いったんコンセプトが理解されると順調に利用者が伸び始めた」
--好調の理由をどう分析するか
「社会に、漠然とした不安が漂っているからだろう。もちろん、だからといってみんなが勉強しているわけではないが、一部の意識の高い方々の『勉強したい』というニーズは確実に高まっている」
--今後の目標は
「15年までに20店舗、さらにフランチャイズも含めて東京と地方で半々の比率に持っていきたい。今、勉強カフェをそのままコピーしたような自習室があちこちで登場し始めているが、あえて歓迎したい。『勉強する場所』が一つのトレンドになることを期待する」(松尾理也)
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【プロフィル】
山村宙史
やまむら・ひろし 中央大商卒。外食産業、金融業などを経て2008年にブックマークスを起業。32歳。北海道函館市出身。
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【会社概要】
ブックマークス
▽本社=東京都渋谷区千駄ケ谷3-26-7
▽設立=2008年8月
▽資本金=300万円
▽従業員数=19人
▽契約会員数=700人
「フジサンケイビジネスアイ」