インソース舟橋社長
□インソース社長・舟橋孝之さん(54)
--働き方改革が大きなテーマになっている
「長時間労働の是正などが取り沙汰されているが、この改革の本質はそこではない。日本ではこれから2030年までの間に1000万人もの労働人口の減少が予想されている。これに対応するには、少ない人数で仕事をこなせるよう生産性を向上する必要があるほか、女性や高齢者、障害者らも含めた多様なメンバーの本格的な参画を実現する必要がある。インソースの従業員は、既に女性や外国人、高齢者など多様なメンバーで構成。翌日から仕事に活用できるさまざまなノウハウを提供し、16年連続で増収増益を実現している」
--ITの活用なども生産性の向上には欠かせない
「なかでも人工知能(AI)は大きな可能性を秘めている。われわれは公開講座の月間開催回数などをAIで決め、利益率のアップを実現した。AIというと、英語とITに明るい若者の仕事だと思われがちだが、実際はそうでない。ビッグデータには不要なデータも含まれており、単純に解析するとあいまいな答えになる。ここから何かを導き出すには知識や経験が必要だ。つまり、業務や顧客をよく知っているベテランの方が結果を出しやすく、生産性向上も期待できる。そこでシニア層がAIを活用するための研修を強化しているところだ」
--日本の職場には他にも課題が多い
「最近はハラスメント研修に対するニーズが増えている。また、若手の戦力化や離職防止を目的として、入社2年目から5年目ぐらいの社員を対象にした研修のニーズが高まっている。以前から、新入社員と幹部の研修はいろいろあったが、こうした若手研修は最近の傾向で、今後ますます増大するとみられる。企業を取り巻く環境が変化する中で、われわれもそうした流れに呼応するサービスを充実させていく考えだ」
【プロフィル】舟橋孝之
ふなはし・たかゆき 神戸大経営卒、1988年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。商品開発、営業、システム開発などの業務に従事した後、店頭公開流通業の新規事業開発部長を経て、2002年インソースを設立、現職。大阪府出身。
「フジサンケイビジネスアイ」