顔認識マーケティングツール「ビーサイト」のエイコムが大賞獲得
ファイナリスト7社がビジネスアイデアを競った
11月28日に秋葉原UDX(東京都千代田区)で、中小・ベンチャー企業の支援組織であるイノベーションズアイおよびフジサンケイビジネスアイが主催する「革新ビジネスアワード2017」ファイナルプレゼン大会が開催された。約200人の来場者を前に、Web投票と新聞社推薦で選ばれた7社のファイナリストが、磨き上げたビジネスアイデアを披露。厳正な審査を経て、手軽さとコストパフォーマンスに優れる顔認識マーケティングツール「ビーサイト」を開発したエイコム(東京都新宿区)の飯塚吉純社長が大賞に輝いた。飯塚氏は「映像制作に約30年、Web制作に約10年携わってきたが、レッドオーシャンから抜け出したいという思いの中で2年前にこの事業に出会った。Androidで動作する顔認識システムとしては他を席巻している。この受賞をきっかけに、ますます発展していきたい」と語る。各受賞者のビジネスアイデアを紹介する。
◇大賞◇
エイコム 代表取締役 飯塚 吉純氏
ローコストで手軽に利用できる画期的な顔認識システム「ビーサイト(Beesight)」を開発した。イベントや展示会、店舗で訪問者のデータが収集できるほか、デジタルサイネージ(電子看板)の視聴者の属性に合わせた広告表示が可能。コンテンツや商品に興味を持って視線を向けた人々の顔をカメラで認識し、年齢や性別に加え、注目時間、表情(怒り、飽き、恐怖、幸せ、悲しみ、驚き)、服の色、頭が向いている方向などの情報を収集してマーケティングに利用できる。
従来の顔認識システムは、サーバーを設けてネットワークにつなぐ必要がありコストが高い。「ビーサイト」はネットワーク接続不要で、大手メーカー製品の5分の1から10分の1という大幅なコストダウンを実現した。顔認識に使用するカメラで、目の前を通過した人の人数を計測できる「ピープルカウンター」も利用可能。カメラで捉えた画像を保存しないので、個人情報保護法にも抵触しない。
小型デジタルサイネージのトップメーカーと業務提携し、店頭における棚前行動購買分析システムを共同開発しているほか、大手マンションデベロッパー、大手化粧品メーカーなどに導入実績がある。多くの企業とコラボレーションを行い、さまざまな用途で「ビーサイト」の普及をはかり、顔認識マーケティングを一般化させたい。
◇オーディエンス賞◇
Liquid 第一事業部 部長 佐藤 毅氏
当社は画像および動画解析に強みを持ち、それらを用いた生体認証、空間認識、体型認識などのサービスを提供している。画像をデジタルデータ化するコンピュータービジョン技術やAI(人工知能)技術を駆使し、安全性が高く高速認証が可能な指紋認証による決済・認証サービスを展開中。たとえば飲食店や店舗などで、指紋を専用のスキャナで読み取り携帯電話の番号を登録すると、財布がなくても買い物や飲食の決済が可能。後日まとめて携帯電話に代金の振込案内が届く。鎌倉市・由比ヶ浜の海の家で実証実験を行った際、手ぶらで決済ができるようになった結果、顧客単価が前年度比約260㌫に伸びた。
ホテルでも、最初に指紋とパスポート番号を登録すれば、指紋だけでチェックインが可能。パスポートを提示したり、宿泊者名簿へ記入する必要はない。インバウンド(訪日外国人)観光市場の拡大にともない、インバウンドを受け入れる商品・サービス提供事業者の業務効率化にも役立つ。
◇よい仕事おこし賞◇
提供:城南信用金庫
堀江車輌電装
代表取締役 堀江 泰氏
1968年の設立以来、鉄道車両の整備・改造を主軸に50年の歴史を刻んできた。「柔軟な発想と実行力で、広く深く社会に貢献する企業」を経営理念に障がい者支援事業を新規に開始し、障がい者雇用の受け入れ先としてビルメンテナンス事業を立ち上げ、多角的に事業を展開している。
今、日本に790万人を数える障がい者の多くは、適性を活かした就職ができているとは言い難い。そういう状況を変える仕組みを世の中に広め、1人でも多くの障がい者の未来を明るくしていきたい。その1つの試みが、障がい者専門人材紹介サービス「トライアングル」だ。社会福祉士、精神保健福祉士、ジョブコーチなどの福祉に精通したスタッフがサポートする専門性の高さに加え、特別支援学校や大学キャリアセンター等の教育機関、福祉機関、行政機関と連携しているのが特徴。単なるマッチングにとどまらず、本人の不安がなくなるまで何度も面談を重ねるほか、支援機関と連携し、障がい者が持つ力を最大限に引き出す。
◇ベンチャーバンク賞◇
提供:株式会社ベンチャーバンク
GIFTRee(ギフトリー)
ギフト事業部 事業部長 千葉 直紀氏
お見舞い専用のカタログギフト『お見舞いギフトブック「クマの郵便屋さん」』は、「時間が合わない」とか「何を持っていったら喜ばれるのだろうか」という、お見舞いに行くのを妨げる物理的・心理的なカベを取り払い、大切な人へのお見舞いを実現するサービス。入院経験者たちの「これがあってよかった」という声を集めて選んだ約20点のギフトアイテムや、入院体験談を冊子にまとめた。冊子連動のWebサイトには、合計約60点のギフトを、入院経験者のおすすめコメントとともに掲載。直接病院に送ることも手渡しも可能で、相手に好きなアイテムを選んでもらうことができる。絵本形式で読みやすさにもこだわった。
お見舞いの気持ちを伝えるメッセージカードや、お礼用のポストカードなど、贈る側と受け取る側がつながる仕掛けも設けている。来年以降の本格展開に向けて、お見舞いギフト市場を創造していく。2020年までに、院内のコンビニやカフェで(お見舞いギフト)を買えるといった新しい文化を創造していきたい。
【ファイナリスト】
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シェア会議室 ~総務部でも月間売上80万円 作る方法~
株式会社アットオフィス
◆今まで難しかった顔認識システムを手軽に活用!様々な分野で期待される「Beesight」
エイコム株式会社
◆障がい者が戦力として活躍する仕組みをつくる
堀江車輌電装株式会社
◆新しいお見舞いのカタチ、『お見舞いギフトブック「クマの郵便屋さん」』
株式会社ギフトリー
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エンジニアプラットフォーム「PRO-SESS」
株式会社MapleSystems
【協賛企業】
<プラチナスポンサー>
株式会社ベンチャーバンク
<ゴールドスポンサー>
<シルバースポンサー>
「フジサンケイビジネスアイ」