グーグルマップのような使用感で会場マップが利用できる「LiveMap(ライブマップ)」のイメージ図(ブレイブソフト提供)
商品を所有する「モノ消費」から体験や思い出に価値を見いだす「コト消費」へのシフトが進み、展示会やフェスティバル、競技大会といったイベントへの参加意欲が若者を中心に高まっている。こうした中、スマートフォンアプリの開発を手がけるブレイブソフト(東京都港区)が提供する、イベントアプリ開発プラットフォーム「Eventos(イベントス)」が急成長している。
「イベントのOS(基本ソフト)」を意味するイベントスは、イベントアプリを構築するためのプラットフォームだ。イベントごとにアプリを一つ一つ制作するのではなく、プラットフォームとして提供することでコストを抑え、開発期間も最短5日まで短縮した。
◆ARやプッシュ通知
会場マップやスケジュール、展示ブース情報などを表示する基本機能に加え、AR(拡張現実)やスタンプラリーといった機能をオプションでつけ、オリジナル感のあるアプリを制作することができる。待ち時間の短縮やプッシュ通知による集客といった効果も見込める。これまでに東京ゲームショウや国際福祉機器展といった展示会やフードイベントなどのアプリで導入された実績がある。
タミヤの公式アプリ「TAMIYA PASSPORT」もイベントスで開発された。同社が開催するミニ四駆競技会は、早朝から数千人の参加希望者が並ぶほどの人気ぶりで、周辺地域への負荷や受付処理のコスト増など運営に課題があった。イベント告知や事前申し込みをアプリで行い、受付もブルートゥースを使った「ビーコンチェックイン」としたことで運営が格段にスムーズになったという。
このようにイベントの満足度を向上させるだけでなく、参加者のアフターフォローやマーケティングにも注力する。ビーコンにより参加者がどのブースにどのくらい滞在したかといった行動履歴を、アンケート機能で参加者の属性や興味などを把握。これらのデータを使った動線分析や効果測定リポートをブレイブソフトが作成する。導入企業は今後のイベント開催に生かしたり、ユーザーに合った製品情報を流したりできる。
西村洵輝グローバルビジネスソリューション事業部長は「従来は顧客の囲い込みにメールマガジンが使われてきたが、メールをあまり使わず、アプリの通知やLINEしか見ない層が若年層を中心に増えている」と指摘。イベントスにはメルマガのような集客・販促ツールとしての可能性があると話す。
同社が力を入れる新機能が「LiveMap(ライブマップ)」だ。グーグルマップのような使用感で会場の見取り図を利用でき、マップ上で気になる展示にお気に入りマークを付けたり、ソーシャルメディアと連携して盛り上がっているブースを把握したりといったことが可能だ。参加者の誘導やさらなる満足度向上を狙う。
ブレイブソフトは、「首相官邸アプリ」や「TVer」といったヒット作を含む500以上のアプリを開発してきた。効果的なプッシュ通知や使いやすいユーザーインターフェースなどのノウハウがイベントスに生かされた。
同事業の売り上げは今年1億円に達する見通し。東京五輪・パラリンピック開催でイベント市場の盛り上がりが予測される2020年に5億円を目標としている。
【会社概要】
ブレイブソフト
▽本社=東京都港区芝4-13-2 田町フロントビル6階
▽設立=2005年4月
▽資本金=1000万円
▽従業員=130人(グループ会社含む)
▽事業内容=スマートフォンアプリの開発、イベント関連事業
「フジサンケイビジネスアイ」